2024年に聴いた楽曲の中から上位曲のレビューです(発売年問わず)
「New York State Of Mind」glee 交差する故郷と夢舞台 Wスター決戦
に続くglee関連第2弾。まずは原曲の方を紹介。
Adele「Chasing Pavements」
Adeleの2008年に発売されたAL『19』収録曲。
人生に迷いながらも道標を照らしてくれるような曲(☆4.2)
原曲の中でも個人的に一番聴きやすかった歌唱音源を紹介
自分にとってこの曲はgleeのカバー音源の
マーリーの歌声やコーラスが魅力の要になっていて。
年を明けた頃に原曲を聴いた時に違和感が出てしまい、芸術性あるPVも
変化球無しで戦えるパワーある曲なのに…と思ってしまった。
勿論adeleさんがこの曲を生み出してくれて、グローバルに愛され支持されているからこそ出会えたのでとても感謝している。
単に自分が坊やだからさ、この味が慣れるのにまだ時間が掛かるかも知れないだけなんだ。
と言う事で、原曲も紹介しといてなんですが基本的に
この記事での曲の評価や感想は全てglee castによるカバーVerの事です。
この曲は不思議な曲で。めちゃくちゃみずみずしい果実/水を味わうような。
心地良いとかよりも「美味しい」という表現がハマる。
そして、”CMソング”とかじゃなくて
“清涼飲料水の主題歌“という表現がしっくり来る。
爽やかにジューシー/みずみずしさに溢れて耳だけじゃなく喉ごしも良い楽曲だ。
さてそろそろドラマの話も始めたいですが
ストーリー的には前回「New York~」直後で同じエピソードの話。
流れ的に(繰り返しになりますが)先に前回の記事を見た方がより楽しめます。
「New York State Of Mind」glee 交差する故郷と夢舞台 Wスター決戦
gleeに見る 「Chasing Pavements」
無事入部オーディションに合格したマーリー、正式にgleeのメンバーになったものの
グリーのメンバー達がチア部の悪乗りに乗じて、
食堂で働く母親の体型を、連日笑いのネタにしていた事が許せず
ついには「この人は私の母よ!」と打ち明け飛び出してしまう。
グリークラブのメンバー達は
かつて自分達はスクールカーストの底にいて酷い扱いを受けていたのに
人気が出て大事なものを見失っていたと気付き、マーリーに謝罪する。
午後の練習に来て欲しい、その曲でリードボーカルをやって欲しいと。
同じくオーディションを受け、歌の素質はあるものの態度の悪さで落選したジェイク。
しかし、彼の兄であるパックも不良だったがグリーに入ることで良い影響があった。
態度を改めるなら、入部を許可すると先生に告げられるが
とがった自分を変えてまで入りたくないと断ってしまう。
そんな流れでこの歌のシーンに入る。
聴いてるだけで心が沈みそうになってしまいそうな、暗くて地味なAメロにのせて
練習をする皆の中に入れず舞台袖で見ているマーリー。
あのオーディションは夢だったのだろうか、せっかく掴んだチャンスも
わだかまりやモヤモヤを抱えて、このまま手放してしまっていいのだろうか。
サビに入る瞬間、ブレインが力強く手を伸ばして切り込む
ここで、世界が色を変える。
彼女をグリークラブに引き入れ
傍観者から、チームの一員に変化した瞬間を見事に捉えている。
疑心と不安、彼女自身の過去や迷いを振り切り
新たな仲間達と希望と挑戦の未来溢れる光の中に飛び込んだのだ。
人生で色々ぶつかったり、悩んでる人もパワーやヒントを貰えると思う。
現実的にはブレインの手引きの様に分かりやすく
誰かが手を指し伸ばしてくれる瞬間や機会は必ずしもあるわけじゃない。
勇気を出して自分から手を伸ばさければ、
飛び込まなくちゃ掴めない事のほうが圧倒的に多いだろう
その先に広がるのも光とは程遠い世界かも知れない
だけど勇気を出して行動すれば、何かしらの変化はやってくるのだ。
だからこそ、手を差し伸べてくれる仲間達の心強さや有り難みも一層染みてくるし
いざそのチャンスが来た時に飛び込めるよう、高めておくことも大切なんだと。
マーリーの母親の件もあってか
笑顔で迎い入れようとする既存メンバー達が良い。
そして、共にパフォーマンスしながら仲間たちはマーリーに
次の道標を照らすかの様に、指示ではなく笑顔で指差し示してくれる。
それにしてもこの曲の既存メンバー達の心強さよ。
ブレイン、ティナは言わずもがな、
留年含めてありがとうのブリトニー、サム、アーティーがいる安心感、
普段居たり居なかったりの印象のシュガーですら頼もしく見える(作品を通して要所要所で目立つ印象でスポンサーの娘とかかなと邪推もあるが、そもそも作中でも富豪キャラというカオス^^;)
歌い終わりのマーリーの沢尻エリカの様な笑顔も好きだ。
それと何十回と見て気付いたが、後ろのメンバー達も
ちょこちょこステップ等ミスっていますね。派手にミスをする系のパフォーマンスは
他にも多々あるのですが、よく見ないと気付かないレベルのミス系は珍しくて面白いなあ。
でもそれも含めて先輩ではあるけれど、彼らもまた成長途中の中にある訳で
キャスト陣は勿論、制作スタッフ達(同時に視聴者にも同じ目線をもって欲しかったと思われ)
「あなたを受け入れ、仲間達と共に成長していこう」という暖かいメッセージを感じる
gleeを知ってる人ならば、綺麗な作品ではない事は分かっているはず。
それ以前も、そして恐らくこの後も。
だからこそ、この歌の時間の暖かく優しい世界に存分に味わい尽くそう。
と、この曲はマーリーだけでもドラマが完成されているのだが
「New York~」に続きこの曲でもNYのレイチェルのシーンと交差させ描かれる。
同時進行で描かれるNYのレイチェル。
今まで、NYで一人でも全然平気と気を張っていたが、
高校時代親友だったカートに電話で
「嘘ついてたの。本当は大丈夫じゃない。独りぼっちで寂しい」
と、初めて弱音をぶちまけて号泣してしまうレイチェル。
「ダンスの先生にはいじめられるし、ルームメイトは毎晩男を連れ込んで
もう寮にはいたくない!」
号泣して、NYで居場所がないと本音を解放する。
「寮を出て新しいルームメイトを探せば?」
このあとの展開は実際に観て頂きたい。
※ちなみにここのセリフ部分も坂本真綾の熱演で聴くとさらに感動する。ソフトか配信で観る際に日本語に切替えて観てほしい
ちなみに、もともとこの曲はマーリー役のメリッサ・ブノワが
ドラマのオーディションの時に選曲していた曲らしい(BDの特典映像でのスタッフの証言)。
そんな、本人としても大切な曲が、こんなに素晴らしい演出で
パフォーマンス出来るなんて、夢と魔法のダブルアタックみたいな状況だ。
レイチェルのような迫力ある歌唱スタイルとは違うけど、
同時に彼女のPOPSに特化したような癖のない軽やかな歌声が活かされた楽曲だと思う。本当にこの楽曲に関しては彼女の歌声が(コーラスワークも)最高過ぎて、このカバー曲を世に生み出してくれただけでも彼女がマーリー役に選ばれた事に本当に感謝だ。
話を戻して、サビの翻訳歌詞
” 諦めようか この道を走り続けようか たとえ行き止まりでも
ムダかも知れないし 居場所は別にある 終わらせるべき?
それでもこの道を走り続けようか 将来が約束されていなくても “
純粋に文言としても素晴らしいが
マーリーとレイチェル2人の迷い揺れ動く心情が見事にあて書きされている様で、
ストーリーとしてもマッチしていて非常に染みてくる。
この演出・・・
シーズン1のテーマポジだった「Don’t Stop Believin’」のエネルギッシュさは無いが
パック(本曲では弟のジェイク)が、途中ステージを眺めるシーンのオマージュがあったり
少なくとも4thシーズンにおける「Don’t Stop~」ポジションの曲なんだろう。
1週目の時も気に入ったハズだが「Singing In The Rain」マッシュアップ筆頭に当時はCD化されていない音源は全て諦めていたので
結果的に(今回ほぼ全曲配信されていた事に気付き)こうして手に入れるまで10年以上掛かってしまったよ!
前回の「New York State of Mind」も「Chasing Pavement」も
全glee曲の中でもTOP10に入る程大好きなパフォーマンスで
しかも今回の記事作成で気付いたが、この2曲が同じEPに収まっているというのがまた驚いた。
海外ドラマあるあるだが、挿入歌が流れる名シーンみたいなのが
作品毎にあると思うが、gleeの場合はミュージカル調という特性上
該当(ノミネート)するシーンは数え切れぬ程あるが
作品の背景を知るほど熱過ぎる「NewYork~」に対し、
この曲の場合は、切り取ってみても分かりやすい青春ドラマが詰まってると思う。
レイチェルのシーンも重なる事でさらにドラマ性も高い完成度になっていると思う。
不安、苦悩、涙、驚き、喜び、祝福、友情、希望、結束などに歌とダンス。
恋愛以外の青春ドラマの醍醐味が全て詰まっている様な素晴らしいパフォーマンスだ。
大げさなんだろうけど個人的にこの「Chasing Pavements」は海外ドラマ史における
名シーンの1選になってもいいのではと思っている。
流石に言い過ぎか?それ位、話が綺麗に終わるし、
特にマーリーというキャラとしては第1話のストーリーや曲目・演出面でも
完成度や期待感で最高潮のスタートダッシュで主人公感のピークがすごい。
ある意味この1話で「glee 4th Season マーリー物語 完」でも
キャラとしては伝説になった気もするし、その方が幸福だったかもしれない位
綺麗にまとまった1話だと思う。
と言う事で、個人的には期待値が不安だった4thシーズンは好印象すぎるスタートで迎えた事もあり
割と好きなシーズンだ。想像していたよりも卒業メンバー達の登場も多いし
NYでの卒業生達の生活も面白い。
『glee』にミニ『フレンズ』が加わった様な。
ストーリーが広がった分仕方ないのだろうが、
マーリー含めてだが、これまで以上にグリークラブの新キャラ達を活かしきれてない感はあった。
が、ストーリー面での苦労も垣間見つつ、パフォーマンス面でもさらに大人っぽさも加わり存分に楽しめるシーズンじゃないかと思う。
ということで
と言う事で、今回は2024年の年間ベスト上位曲のglee編第2弾
『glee』に観る「Chasing Pavements」作品レビューでした。
ベスト曲レビューもようやく一区切り。このgleeの2記事は12月から書いていたので、流石に時間掛け過ぎで詩羽記事以上に着地点が難しく、アップ出来て少しほっとしました。
読み難い所も多かったと思いますが、最後までご覧頂きありがとうございます。
次回はベスト曲のまとめ記事です。
DEHA