きゃりーぱみゅぱみゅ「もんだいガール」嫌いを叩くより 素敵で泣きたい

2024年最後のシャッフルレビュー第95弾。

今回選ばれたのはこの曲

きゃりーぱみゅぱみゅ「もんだいガール」

・作詞作曲 中田ヤスタカ

2015年3月18日発売の10枚目のSg。ドラマ『問題のあるレストラン』主題歌。

問題だらけでストレスフルな世間の声をぶった切る、刹那のアッパー曲(3.7)

この曲はプロデューサーでもある中田ヤスタカが、

彼女への提供曲で初めて詩を先に作った楽曲らしい。

クオリティの高い楽曲は他にもあれど、重力では群を抜いていると言える。

個人的には翌年16年に発売のSg「最&高」B面の

もんだいガール -extended mix-」が好きだ。

かつて南野陽子がスキャンダル報道が多発し始めた時期(事務所のマネジメント問題の要因が大きかったが)

自ら皮肉くって「トラブルメーカー」というタイトルのSgを出した事もあったが

それと近いニュアンスがある作品だと思う。

PV後半ではバットを構えたり、裸(タイツ)で歌ったり

パンツを見せたりなど奔放な演出もされており

自らが楽しんで皮肉を持って”問題Girl”を演じている。

さらにトランシーバーで歌う演出は

SEKAINO OWARIDragon Night」のオマージュらしい(当時メンバーと週刊誌などで騒がれた)

ちなみにジュリアナみたいなサビの手のひらフリフリは、

盆踊りから来ているらしい。

攻撃的な歌詞

本作はタイトルだけでなく、歌詞(特にAメロ)の攻撃力も高い。

普段はコミカル・メルヘンな印象が強い彼女が歌うからこそ

よりエッジが鋭くリスナーに届いてくる。

だれかを責めるときには 「みんなとちがう」というけど

 毎回「みんな」にあてはまる そんなやつなんているのかよ

 できないことへの憧れを 造り変えてく勇気もなく

 足をひっぱるのには夢中 なんてもったいない

例えばSNSとかである言動が

“普通”から外れたことをした時に批判される。

だけど、その批判をしている人も含めて

そもそも全ての言動・活動が”普通”の範囲に収まっているひとなんていないハズ。

結局、部分部分毎で切り取ればみんなハミ出してるのに

相互に監視して、ハミ出した瞬間をスクラップして

ここぞとばかりに、叩き上げる魔女狩り状況。

皆が導火線と火薬を握りしめながら、炎上し合っている。

まあそれが、犯罪や行き過ぎたモラルの抑制、牽制等に繋がっている

良い部分もあると思う一方で、行き過ぎたバッシングや炎上は問題だとも思う。

もっと各自が向上していく為にポジティブに時間とエネルギーを燃やすべきで

次の標的はどこか・誰かと、常に他人の揚げ足取りばかりしているのは勿体無いだろうと。

そんなマニュフェスト表明とも言える2番のメロの

ライな事で笑うより ステキなことで泣きたいわ

という歌詞も痺れるし好きだ。

緊迫感と、戦国無双感

曲調だけで言えば断然OPテーマなんだけど

切なさと緊迫感が爆発しながら未来へと不安定に進行していく感じで

映画で言うと隕石が落ちてくる寸前でタイムリミットが迫る大混乱の世界で

EDロールが流れる中で、敵をバッサバッサ切り倒しながら進む終幕感が凄い。

そもそもこのSgはデビュー以来、

最長のスパン(8ヶ月ぶりのリリース)が空いた久々のSg

(しかもひとつ前のSgは、グッズのおまけでCDが付くという形態)

本人も色々不安や思う所もあったであろうし

3週間後の4月8日には同じく中田ヤスタカプロデュースによる

三戸なつめのデビューSg「前髪切りすぎた」も控えている中。

心中穏やかでは無かったであろう事は容易に想像できる。

唯一2人とも同じアソビシステム所属なのがせめてもの救いだが

三戸がデビューしたらしばらくは、

歌だけでなくCMやTV等のメディアリソースが移行していくのも

感じたであろうし、危機感もあっただろう。

ファンからすればショートケーキきゃりーみたらしなつめ

色分けは配慮されていた様に感じていたが

一般人から見たらどちらもサブカルファンシー枠としてダブっていたはず。

※過去記事三戸なつめ「前髪切りすぎた」レビュー モダンEDMの切ないチョキチョキ

(個人的には今でも2人のマッシュアップコラボ「つけまつけすぎた」期待してるが)

数ヶ月後には交際していた恋人と破局が明らかになったり

人としてもアーティスト人生としても過渡期のSgで緊迫感にあふれており、

そんな心情をカバーする様な中田氏の気合いも

サウンドからも強く伝わって来て

より一層 起死回生の大勝負!!的な空気感が凄まじすぎて鳥肌が立つ。

閃光のようにするどく、勢いもあるし強く見えるのだけれど

輝けば輝くほど消耗して今にも消え去りそうなまばゆさに泣けてくる。

もうやめて、きゃりぱのHPは0よ!!」な状態から

体内に刻まれたDNAで戦っている感じが泣けてくるのだ。

リスナーにおいても、それぞれが人生の岐路に立つ、

起死回生をかけて勝負に挑む時の

ここぞという時の戦闘曲にピッタリの曲だと思う。

たくさんのもんだいがある

結局もんだいガールは、表向きは ”あたしはもんだいガール?“と

問題だらけな少女 なんですというニュアンスをキャッチーに見せつつも

核心としては繰り返される”あたしはもんだいガール”のフレーズの後に

あたしは問題がある 社会をメイクアップしたい(変えるべき)

というマニュフェストフレーズが隠されていると感じたのだ。

そう考えながら聴くと、より一層格好良く聴こえて来る。

発売から約10年程経っても、そのメッセージ性と切れ味は揺らぐ事無く

現代社会の闇に刺さり続けてゆくのだ。

立ち上がれ!きゃりぱ エンド ヒューマン!!

と言う事で、

今回はきゃりーぱみゅぱみゅ「もんだいガール」楽曲レビューでした。

11月から書いていたので、曲調的に年内最後レビューは回避予定でしたが、

そうなりましたね。

読者の皆さん今年もお世話になりました。

来年はこの『Bubrights』10周年イヤーになります。

シャッフルレビューも100回に到達すると思うので、

プレイリスト企画もそうですが、色々と出来たらなと思います。

ぜひこの曲のパワーの様に、みなさんにとって

2025年も勇ましく戦って、切り開ける未来でありますように!!

DEHA!

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