シャッフルレビュー特別篇。
筆者が2019年に聴いていた年間上位曲のレビューです。(発売年は関係無しのホリコン基準)
今回4位に選んだのがこちら
Suchmos「MINT」
2016年7月6日発売のSg『MINT CONDITION』リード曲。
独特の浮遊感のあるサウンドに、土感も合わせた都会的なリリックが重なり、
様々な情感を沸き起こさせる様で、この世界の中に身を任せたいミディアムスロー曲。(☆4.3)
歌の世界観としては、何かドラマチックな出来事を歌っているというよりも
自己や友への声や問いかけを、日常の断片図に映し込んでるという世界観で
それが逆に、良い感じに「冷めた温度感で観る、俺等の日々のオムニバス」という印象で非常にクールで洒落ている。
「8 x 4 (エイト、フォー)」(絶対違う)みたいな掛け声コーラスも相まって、独特な浮遊感も素晴らしく
この縦ノリとか横ノリでも無い、五感だけでなく精神も空間も畝らす 4Dノリのサウンドが、最高に気持ち良い。
リスナーの方の感想を見ていると、若者だけでなく上の年代の方も耳に残る方が多いようで
現代流のサウンドに、懐かしさを感じる洋楽のテイスト、洋楽的な湿度を併せ持っているのが
この曲に限らずですが、Suchmosの強みだなと感じます。
また、同じくリスナーの方の”亡くなった知人を思い出す”という感想にも
何だかすごく共感してしまった。
あくまで今という日々の時間枠を歌っていつつも
どこか過去の人やモノとの回想、回帰、そこから湧いてくる感情からの再会。
レクイエムというと大げさだけれど、アルバムを見返したり、
人為的に過去に寄り道する訳ではなく、
慌ただしく過ごす1日の終わりに酒を飲みながら、
ふと自然と頭によぎる「あの頃の」”アイツ”や”あのシーン”を
映し出す(導入剤的)フィルムBGMの様な、魅力があるかもしれません。
Voヨンスさんの渋い歌声も相まって、ブルース等の要素も感じつつも
タイトルも、変に「SMOKE」「Whisky」「Yesterday」等では無く「MINT」というのも洒落ていると思う。
人生の渋み、苦味みたいな物に、過去の酸っぱさの様な物も加えて
彼らの等身大のニュアンスに変換しつつ、青臭さに寄せて
敢えて「MINT」となっているとしたら、ニュアンス的にもより深みを感じるし、非常に格好良いなと思いました。
(歌詞にも出てきますが商標が許せば「Coke」というタイトルも候補だった?それだと甘味が強いか)
今日のっこと、今のこと、今の自己に問いかけつつも
頭に浮かんできた過去の出来事や友の残影(モノ・物)にニヤリとしつつも、
良い意味で気負い過ぎず、変わらず日々をやり過ごして共に行こうぜ
みたいな雰囲気のラフ格好良さがこの曲の肝か。
個人的に、この曲は2019年の年初~春頃にピークでハマっていて
春先までは去年の1位の「Holy Moon」パターンで、年間でも1位になりそうだなと自分で思っていたが
ある時、歌詞を見て(全体的にほぼ脳内イメージのままだったし、文字として見た時のセンスの良さも再認識出来たが)引っ掛かってしまった箇所があり
以降、気持ち良く聞き辛くなってしまい、聞く機会が急速に減りました。今回年間4位に選んだ事で証明出来たと思いますが、結果的にそれから2周位してしばらく経ったら、また自然と聴けるようになって来ました。楽曲本来の力のおかげですが。
順位的には2016年の曲という事で、2019年発の曲達の方を優位性を持たせたので、4位とはしていますが、ハマリ度で言えば実質2位くらいの感じです。
痺れる「MINT」LIVE映像
全国各地のLIVE会場での演者/客席シーンとオフショットも交えた映像。
所々MCも入っていたり、LIVEドキュメンタリーとしても楽しめる内容。
構成や、編集の仕方も良いですね。
客席のシ-ンにしても一体(臨場)感を出そうとし過ぎて、
よくありがちな無駄に長い(多い)というクドさも感じさせないバランスで、
既存ファンは勿論、Suchmosビギナーのリスナーに向けても非常に求心力のある立派なPVだと思います(そもそもLIVE Editionとして公認されてるか)。
今後も人生の様々なシーンで聴くと思うので、末永く大事にしたい曲です。
と言う事で今回は、Suchmos「MINT」楽曲レビューでした。
次回は2019年に聞いた曲3位のレビューです。
お楽しみに。