鈴木愛理「真夜中のメリーゴーランド」 レビュー 眠らぬフクロウ達の デジフォレスト

シャッフルレビュー特別篇

今回は2022に聴いたベスト曲の第2位のレビューです。

鈴木愛理「真夜中のメリーゴーランド」

2020年12月21日に配信リリース、22年2月2日発売のAL『26/27』収録曲。

夜の街をぐるぐると迂回していたい様な

ノスタルジーさも感じさせる打ち込み系JAZZYサウンド曲(☆4.4)

・作詞 豊島こうき ・作曲 Amber’s ・編曲 福島拓人

この心地良すぎるグルーブ感。夜の散歩にも丁度良い温度感だと思う。

ヘアアレンジ含めちょいヴィンテージ狙いと思われるが、

前半の場末のスナックママ  占い師なMVシーンで

悩ましい鈴木愛理の表現を見ても

背伸びしてる身内の子をみてる様な感覚、

良い意味で無理してる感がある。

歌詞だけ追うと、かなり官能的な世界観だとは思う。

世界観の体現という意味では、例えばハロプロ繋がりで

元モー娘現在ソロの佐藤優樹も この曲カバーしたら聴いてみたいし

詩の世界観を演じたら、瞬間風速では本人以上にハマると思うが

やり過ぎてくどくなってしまう気もする。

そういう意味でも、鈴木愛理が歌うことで結果的に

根の清純さが曲のイメージ(世界観)を強く固定化し過ぎず、マイルドに中和し

状況を選ばずに聴けるPOPSの距離感に繋がってる様に思う(少なくとも自分にとっては)

デジタル社会に固定化されないメリーゴーランド

ランタン片手に森ガール(今でも言うのか?)な彼女が歌う場面。

夜の自然の中をうろついて中世ヨーロッパ感を出して来そうなとこを

あえて都会的なビル群の夜景をバックに歌うギャップが

都会や現代社会の孤独感も出していて好きだ。(単に予算の関係からこうなった説も頭をよぎるが)

※3分24秒位からの映像も曲の展開も合わせて最高。

一瞬、木々の中に無数のデジタル液晶がある様に見えたりするシーン等

自然と都会(デジタル)の境界が絡まってる感じも良い。

似た様に繰り返される毎日でも、同じ日は無い。

メリーゴーランドも、一見同じところをぐるぐると回っている様で

例え同じ場所でも、その時の感情が違えば見えてくる物が変わるように。

そう、真夜中のフクロウたちは四角の明かりの中、月夜の下

感情の揺れ動く真夜中を飛び交い、くぐり抜け、日夜鳴いている。

メリーゴーランドは場所や空間を固定して回り続けるのではなく、

そのファンタジーさを鍵に、日常のシステム化された社会の中で

固定化されたマインドを開放し昇華するように

リアルとファンタジーの境界線の融合に挑戦/冒険している。

それは同時に、今日と明日を繋げるかのようにぐるぐると回り続けている

のかもしれない。

・・・なんて、綺麗に終わらずに、

まだまだ楽曲の付随エピソードは続きます。

配信買わずに後悔

楽曲的に配信リリースはギリ2020年で、個人的には

21年にYoutubeのMVをリピートしてハマっていたが

後でCD発売されるのが分かっているのに配信で買うのに抵抗があり

約1年後の22年2月のAL発売でようやく音源として手に入れた・・・が、

配信のうちにダウンロードしとけばもっと楽しめたなと

約1年間のタイムロスを非常に後悔。(因みに次回の1位の曲にも同じ事が言える)

まあ大抵の曲の場合は待って正解というケースが多いけど、ここまでグッときた作品ならなるべく早く購入すべきと思った。

物理CDの時は先行Sg盤ですら良いと思ったら買ってたのに、配信(データ)になると妙に渋ってしまうのは

ジャケット、歌詞カードやc/w等の付加価値もあったからなのかな。

まあそんな事を書きつつも、未だにサブスクを解禁していないので

まだもう少し物理メディア主導の世界で頑張りたい(半ば意地だ説)

ふと思ったのが、坂本龍一氏の

戦場のメリークリスマス」が”(せん)メリ“と呼ばれているように

この曲の場合は、聞いたことないが “真夜(まよ)メリ” となるのだろうか?

東映Chで会う、鮮烈 Let The Show Begin

せっかくなので、この曲のさらに半年ほど前の、

まさにコロナ渦ピークとも言える20年5月頃に配信となった曲のMVも紹介。

鈴木愛理‐『Let The Show Begin』(Music video)

当時CSの東映チャンネルの番組終わりのCM枠?で

よくハロプロMVが流れるスポットがあり(その後、東映の会長?が亡くなった時に繋がったが)

そこでこのMVを見て、かなり衝撃を受けた。

並みのSg以上の予算が掛かってるゴージャスMVと、

それに負けずのハイクオリティ楽曲。

ゆうちゃみ(前回に引き続き登場)ぽさもある

コンディションも、アートワーク(スタッフ陣)面でも最高。

もちろん、未だポスト安室狙い感もバリバリに出てるが

ソロでこれだけの事が出来る時点で勝ちじゃんと思った。

本来は2020年東京五輪に向けたメディア勝負曲だったのかもしれない。

パワフルな楽曲なのでヘビロテするような感じではないけれど

その分、初聴時から好かれやすい曲だと思う(そういう意味では「真夜中の~」とは月と太陽なな印象)

今回の2曲はどちらもAL『26/27』に収録されているので、気になった方はチェックして見て下さい。

曲提供の Amber’sの曲紹介

やはり楽曲として「Interstellar」が群を抜いて好きで

よく聴いてたので、紹介します。

Amber’s – Interstellar【MV】

2019年の曲だけれど、この曲だけで数年戦える位のポテンシャルを秘めた曲だと思う。

他の曲を聴いてもこの曲の着地点の良さに戻ってくる。

歌声、サウンド、PV全てのバイオリズムが好循点で交差したような奇跡曲と思われ。

ちなみに作品と関係無いが℃-uteもそうだがAmber’sというアーティスト名が、検索に引っかかりにくくて当時困ったので、関係者が見てたら参考にして欲しい。

今気づいたが、この曲のMVのラスサビ辺りで手持ちのカラースモークを炊いているシーンが!

「真夜中の~」ラストにもこのシーンがあり(他にも演出がだぶるシーンも)、見比べても面白い。

時系列的に、あのMVには愛理(もしくは監督)による作家へのオマージュが込められてたのかもしれない。

と言う事で今回は、2022年に聴いたベスト曲2位に選んだ

鈴木愛理「真夜中のメリーゴーランド」の楽曲レビューでした。

次回は年間1位曲の発表です。お楽しみに。

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