アンジュルム「赤いイヤホン」レビュー 私の夢見たプラチナ期。赤い糸、開放宣言

筆者が選ぶ、2019年に聞いた上位曲のレビュー。

年間3位に選んだのはこの曲

アンジュルム「赤いイヤホン」

作詞作曲 星部ショウ 編曲 大久保薫

2019年5月15日発売のAL『輪廻転生~ANGERME Past, Present & Future~』収録曲。

心のどこかでは見えない赤い糸を信じている一方で、無線・ワイヤレス化が進む現代に、恋愛においても男の”感情に縛られる事なく生きていきたい”と強い意思を掲げる女性の心情を

モーニング娘。プラチナ末期を彷彿とさせるパフォーマンスと、サイケデリックDance音に乗せて力強く表現されている。☆4

※「赤いイヤホン」LIVE映像のシーンから再生されます

旧リーダーの和田彩花(19年6月にグループを卒業)は、スマイレージの時代から「プラチナ期さんのようなアイドルという枠に収まらない格好良いパフォーマンスの出来るグループにしたい」という旨の発言をしていた印象がある。

※プラチナ期とはモーニング娘。の2007~10年頃、主に高橋愛がリーダー体制だった時期の呼び名。メディア露出、セールス共に減少していた時期だったが、メンバー等はスキルを磨き、現在でも評価を受けるまでのLIVEパフォーマンスのクオリティ向上に繋がった。この時期のつんく♂楽曲の支持も高い。

勿論プラチナ期だけじゃなく、その後の青春を全てアイドルに掛けてきたBerryz工房℃-ute達の晩年の姿からもアイドルを超えた魅力、格好良さを間近に感じていたと思う(この記事ではそんなOG達も合わせて”プラチナ”と称したい)。

緊迫した曲の世界観やサウンド面や

Sg以外での活動末期のグループの象徴曲という面でも

プラチナ期における「愛されすぎることはないのよ」に相当するポジションの曲だと思います。(編曲はどちらも大久保薫 氏)

パフォーマンススキルはもちろん、主要メンバーの熟練感や、ビジュアル面においても

彼女(達)が夢見ていたグループとしての到達点の一つの完成形がこの曲で表現されたのではと思う。

この曲は、クールなサウンドも痺れるのだが、その背景もヤバイ。

タイトルからしてヤバイ。“赤”は和田彩花のメンバーカラー、

“イヤホン”は(アンジュルムの改名前の)スマイレージのメジャーデビューSg「夢見る15歳」のライブ披露時、

イヤホンで」という彼女のソロパートにファンからも熱いコールが重なるというのも恒例となっていたワード(正確には”イヤフォン”)。

「”アイドル(女性)とはこうあるべきだ~”という偏見や固定概念で縛り付けようとする社会や大人達。

「赤い糸」は心と心を結ぶものではなく、世間や状況が勝手に作り縛り付け、時代の変化と共に複雑に絡みつき、いつの間にか「束縛の赤い糸」になってしまっていた。

そこで、今改めて和田彩花率いるアンジュルムが立ち上がり、

その束縛から解き放ち、本来意味での「運命の赤い糸」を自分達で取り戻そうという

社会に向けての呪縛を”コードレス化せよ!“という強い表明。

つまり”赤いイヤホン“とは

グループとしての1つの到達点での”プラチナ継承の完成形であり進化形のカタチ”を

和田彩花のアイドル人生“というフィルターを通し、

高らかに掲げた「赤い糸 解放宣言」とも言えるのかもしれない。

少し格好良過ぎるかもしれないが

芸術・エンターテイメントの強みは、政治や社会的な壁や立場、規制を超えて

様々な捉え方、無限に広がる力を持っていると思うので、この妄想も一つの受け取り方だと思ってもらえたらと思います。

そんな訳で、”赤い“”イヤホン“どちらも何気ない単語であると同時に彼女にとってのライフワード

15年掛けての歴史を歩んできた和田彩花が先頭に立ち発信するからこそ説得力もあり、唯一無二のメッセージが表現された秀逸なタイトルだと思う。

また、歌詞に登場する”bluetooth”というワードをこのクールな曲調に違和感無く聴けるのも何気に凄い事だと思います。

譜割り的には”Wifi(ワイファイ)の時代でしょ~”でも問題なくハマるし、認知度や現役度でも頭3つ程飛び抜けているのですが、

どこか定番化しすぎて所帯感と共に最先端な感じも欠ける(まぁBluetoothもだいぶ前からあるが、Wifiに比べると一歩玄人向けで未来感も強めだと思う)ので、そんな意味でもBluetoothで良かった。

また、和田の赤になる前のメンバーカラーは青(Blue)でもあり、そんな彼女が進化してTruth(真実)を世に訴えかける、そんなBlue truthにも引っかかっているのかもと思える妄想の伸び代すら感じさせる。

ともかくこの曲の世界観の中で、赤い糸というキーワードと共にWireless/Bluetoothというワードの選択に於いてもセンスを感じて好きである。

このように、サウンドの面でも詩の面でも彼女の念がググッと表面化したような濃い楽曲である。

「赤いイヤホン」に見るプラチナ期の残影

赤いイヤフホン」を初めて聞いた時から、何故か毎回この曲の船木の歌声を聞く度に「愛されすぎることはないのよ」でのリンリンが浮かんでいた。

このレビュー記事を書き始めていた2019年年末に、偶然見た研修生の過去と現在を比べた動画で、船木結がソロで「SONGS」(プラチナ期の象徴曲の一つ)を歌っているシーンを見てビビッと来て

その後2018年のバースデーイベントで「愛されすぎることはないのよ」歌っている動画をも発見し、先述の通り「赤い~」でリンリンをダブらせていた自分にとっては

これこそ本人(船木)の電波をワイヤレスで受信したのだと確信。勿論、彼女の中でリンリンを意識したのかは不明ですが、少なくとも彼女もまたプラチナの背中を追い、その意思を受け継いでいた後輩だった(と思って良いだろう)。

もともと和田や、田村芽衣美からは松浦亜弥等の実力も備えたOGや、高橋、新垣等のプラチナ世代へのリスペクトを感じていましたが

カントリーガールズからアンジュルムへ兼任・移籍という遍歴を経ながらも、

彼女達の中にプラチナ期は生きていると、まさに言葉や説明など不要でワイヤレスの赤いイヤホンで繋がった気がして、思わず感動してしまった。

プラチナホイホイ?

2015年のスマイレージからアンジュルムへと改名から「大器晩成」リリース

この辺りで、新メンバー達の生き生きしたキャラとエネルギッシュな曲達。全体的にキラキラしていて、勢いがありました。

高橋愛や田中れいな等のプラチナOG達もこの時期は「アンジュルム、良いよね~!!」と絶賛し、自身のイベントでアンジュルム楽曲を積極的にカバーしていました。これは別に現役のモーニング娘。のメンバー達への当て付けでは無く、純粋に外から見た時にその当時の勢い/魅力のある曲、メンバーが多かったのだと思います。

さらにOG田中れいなの「なんでモーニング娘。じゃないと?(方言)上國料さんモーニング娘。やろ」(2017年の自身のイベントでの発言)もあった。

この発言は、当時の多くのハロプロファンの気持ちを代弁した発言に感じた。上記”上國料”の部分を”次々続々”に入れ替えても成立すると思います。

少し前までは、ハロプロ内では上国料の様な人材もしくは「次々続々」の様なキラー曲は、モー娘に渡っていたパターンだった。

「あれ?モー娘じゃないんだ」とOGも現役も、リスナーも似たような印象を受けていたのではと思います。特にプラチナ期が好きな人達は、大きな時流を上げると最後のプラチナメンバー道重卒業~1年後にエースの鞘師卒業という大きな展開期にあり、

12期メンバーを含め、良くも悪くも1年が「TIKIBUN」の不安定なインナーサウンドのイメージがグループの印象に重なる様な、苦しい時期でした。

対してアンジュルムはSg「大器晩成」発売~Sg「次々続々」といった流れで、プラチナ期のファンは、母校を応援しつつもパフォーマンスやサウンドの面でライバル校であるアンジュルムの方に惹かれた方が多いのではないかなと思います。

序列替え/下克上を事務所が画策していたのかは不明ですが、少なくとも当時のアンジュルムには「プラチナホイホイ」(信者誘導)な要素があったのです。

自分も「次々続々」(「上手く言えない」も)はスマイレージの1stAL以来にCD買いました。

※当時のレビュー記事 アンジュルム『次々続々』思い出に追い抜かれぬ為の 果敢なる奮闘曲

この辺りの話を書いていたら、楽曲レビュー以上に長くなりかけたので、とりあえず別記事にしました。文章がまとまったら「モー想。コラム」にてアップしますね。

話が逸れてしまったので、元に戻します。

和田の卒業というだけでも一つの時代の終わりという感じがあったが

その後、橋迫加入、勝田、中西卒業、

この記事を書いている間にも船木、室田の卒業発表(太田の休業も)と立て続けの変動の流れとなった事も

より一層、当たり前にある様に見えて、彼女達の活動は常に変動の渦中にあり、本人達やファンにとって、どの時期も尊いものだという事を改めて感じました。

だからこそ「赤いイヤホン」でユニットとしての一つの到達点を見れた事を嬉しく思います。(もちろん、今後も新体制毎にこの曲をはじめ過去曲も、その時期毎の魅力や魅せ方があると思うので、過去に遠慮せず自信を持って披露し続けて欲しいです)

「私の夢見た15年」⇒「LOVEペディア」に続く

和田彩花の卒業Sg『恋はアッチャアッチャ/夢見た 15年(フィフティーン)』。

「夢見た 15年」はタイトル通り、スマイレージのデビューSgに掛けてあります。PVもそのオマージュにもなってます。

その直後に発売されたALに

彼女自身のソロ曲「私の夢見た15年」というバラード曲が有るのだが

卒業Sgの「夢見た15年」と同じく、元同期メンバー福田花音の作詞となっている。

2曲とも基本となる歌詞は同じだが、メロディとアレンジが異なっていて

アップテンポと、バラードという対極なアプローチなので全く違った印象を受ける。

これまでのハロプロの流れだと、ソロの「私の夢見た15年」も合わせてトリプルA面Sgになりそうなのだが

あくまでもAL曲の1曲という扱いで、近年の卒業ソロ曲にしては珍しくPVが存在しない。

~ここ数年の卒業ソロPV有りメンバー例~

中西「天使の涙」勝田「とっておきのオシャレをして」福田「わたし」道重「シャバダバ ドゥ~」田中「Rockの定義」新垣「笑顔に涙」高橋「自信持って~」

~卒業ソロ自体が無かったメンバー~

モー娘。飯窪、尾形、工藤、鈴木、鞘師、亀井、ジュンジュン、リンリン、久住、藤本、スマイレージの田村、前田、小川、℃-uteの梅田、有原、音楽ガッタスの真野

と言う事で、卒業ソロ曲を貰いつつ、PVが無いのは自分の記憶が正しければ

2007年のモー娘。吉澤ひとみその出会いのために」か(アーティスト表記はFeat~となっているが、実質ソロ)

と思ったが、アップ直前に思い出した!

翌年2008年に美勇伝のラストSg「何にも言わずに~」のB面に3人のソロ曲有りで、PV無しだったからそれ以来

およそ11年振りか。和田の様な功労者が蔑ろな扱いにされるはずは無いので、恐らく彼女自身からPVは不要(その分予算をグループの方に回して欲しい)と発信されたと想像します。結果として良いのか悪いのか「恋はアッチャ~」のプロモ費用に移行したと思われ。

ソロ曲の方は聞いた事がない!という方も多いと思うので

本人の代わりに?この曲の詞を担当した、

福田花音がセルフカバー(?)して、自作のPVも作成しているので、そちらを紹介します。

個人的には「私の夢見た~」は詩の使い回し感も無かったし(むしろSgとのギャップでより切なく感じる成功例かと)、歴代の卒業曲で見ても、単独PV無し等を考慮しても、かなり良質の部類に入ると思う

実際、これに手応えを感じたのか約半年後のモーニング娘。’20の「人間関係NO WAY WAY」と「LOVEペディア」(この2曲の場合はアプローチが逆で、同一メロで異なる歌詞アレンジ)に昇華されたのだと思っている。まあ後者に関しては、そこまで流用するほど光るメロディラインとは感じなかったが

恐らくハロプロ全体で、今後はコンペでどの曲にするかという先に

“コンペでの選出曲”をさらに複数の作詞家、又は作曲家に依頼して(複数Ver違いから)さらに選考するという多重コンペ化の機会が増えるのかなと思います。あまり多用されると心配になっちゃいますが

カバー等を含めて個人的には財産を生かすという意味でも、エコでもあるし、色んな角度からの良さを感じられる等の良い面もあると思うので、流用する価値や意味のある詩やメロディについては、今後も見て(聴いて)みたいなと思います。

※記事のアップ直前に作詞作曲を手掛けた星部ショウさんによるライナーノーツを見付けたので紹介します。

星部ショウ オフィシャルHP』よりLiner Notesのページ(新規ウィンドウで開きます)

と言う事で今回はアンジュルム赤いイヤホン」楽曲レビューでした。

次回は2019年の年間2位曲のレビューです。

次々続々・・・お楽しみに。

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