DA PUMP「小さな会釈」レビュー シェイクスピアの戯曲すら 一瞬でPlayback

シャッフルレビュー特別篇。

2019年に筆者が聴いた曲の中から選ぶ上位曲のレビュー。

第2位に選んだのはこの曲

DA PUMP「小さな会釈」

作詞 shungo. ・作曲 ZETTON・C NORTH

Sg「P.A.R.T.Y. ~ユニバース・フェスティバル~」収録のB面曲。

別れ際に焼き付いた「小さな会釈」をキーワードに

男女の別れが小説のシーンの様に描かれている。

オリエンタルな雰囲気漂うクラブ曲(☆4.2)

ともかく格好良くて、聴いてて気持ち良い。

今まで、ISSAの歌は上手いなとしか思ってなかった(普通はそれで十分だが)

今更だがこの曲を聴いて、彼の歌声の魅力に強く気付かされた。

上手いだけじゃなくて、声質や数値化出来ない 根底、魂の部分が違う感じ。

良い意味で初期の頃の曲と並べて聴いても、違和感なく聴けるISSAの現役感が素晴らしい。

勿論、細かい面での歌唱スタイルの変化や、技術力の向上等、長期的に歌う為に声の出し方の変化もあるだろうし、

常に聴き続けているファンの方からすれば全然ちゃうわ!と言われてしまうかもしれないが

純粋に彼のVoが凄い意味で年を取っていないと感じた。

変化球タイトル 曲と歌声の魅力

初聴時から思っていたが小さな会釈」て。すごいタイトルである。

なんていうか、曲のタイトルっぽさが全くない

今でこそ慣れてきたが、ダサいとかですらなく書籍や文学ぽくて

マナー教則本のチャプタータイトルにピッタリだ。

まぁこの”違和感”を感じる曲名らしかぬタイトルというのも、

印象には残るのでインパクト狙いなら成功か。

そして、タイトルからして奇抜な感じの歌詞なのかと思いきや

歌詞はファッション雑誌の広告のポエムの様に非常にスタイリッシュだ。

歌詞だけ読めば”瞳に焼き付く 別れの会釈“みたいな

切ないストーリーかもしれないが、この曲はアガる魅力を持っている。

Aメロでクールで色彩を落としたシリアスな世界観を形成し

ドラムレスでやや無機質なBメロで掛け合いも強まり、畳み掛けるようにスーっとサビに移りゆく流れが

道端で続々と投合していく仲間達と共に、(サビで)ナイトクラブのドアを開けて突入!

という感じの、ドラマチックな情景を感じさせるメロディの流れもお見事。

緩急の面に於いてもサビの完成度が素晴らしい。

Playbackしたい Playbackしたい(明確にしない 明確にしない)”の

韻踏み語感共鳴フレーズが心地よく反復していたと思えば

“今と、その後の状況 列車が遮る直前“のストンと落としてから

リズミカルにスタタタタ!!と階段を一段ずつ駆け登っていく様な、歯切れ良く進むメロディも最高に耳障りがよく

その後の”会釈をし~たい“と同時に重なるサウンドも含めてゾクッとするし続くアウトロも心地良い。

繰り返しになるが、これらをISSAが 現役ハイティーン感爆発 の歌声に乗せて、細かいニュアンスも含めて見事に表現していて素晴らしい。

曲の世界観的にはナイトクラブ系だし、ISSAのパーソナリティも完全にチャラ男寄りにも関わらず、その歌唱の精確さにクラシック/バレエの様な上品(品格)さすら感じる。

若さ(美貌)をキープしている人を美魔女などと呼ばれることがあるが

ISSAの場合はそれの歌声版(呼称が思い浮かばないが)という感じだ。

天性の部分もあるとは思うが、維持する努力無しでは有り得ない(そもそも努力したところで変化するものは変化する)。

パワーアップや変化している部分もあるのだろうが、歌声の鮮度(フレッシュ)感の維持が出来るベテランアーティストはほとんどいない中で、これは奇跡と呼べるかも知れない。その貴重な歌声を大事に、今後も様々な作品を残していって欲しいと思う。

こんなにすごい曲が、サラッとB面に入っているのが恐ろしいし「BOY MEETS GIRL」(94)よろしく、曲との出会いも宝探しだなと改めて感じる。

これで、近いうちに出るであろう「U.S.A(ベストにも収録されたが、この規模の曲はオリアルにも再度絡ませるのが通例)以降のSgを収録した

オリジナルALにはさすがに収録されると思うが、スルーなんてしたら

サイコーにクールだなと思う(いや、収録されたらより多くの人に聴いてもらえるので、それはそれで嬉しいが)

4人体制時代のあの曲とKENのラップ

この曲は初聴から「ヤバイ作品と出会ってしまった!」感があり、すぐに魅了されたが

それと同時に毎回彼らのある過去曲が、脳内に蘇って来ていた。

それは、1999年4人時代の2nd AL『Higher and Higher!』収録の

アルバム曲「You Can Understand ~Share my world~」だ。

(1st ALに比べるとややシックだが、2nd ALのリード曲だ思っている)

当時からずっと「You can~」が好きな自分にとって「小さな会釈」に凄くドンピシャな雰囲気や世界観(各々アプローチの仕方は違うが共通するものが多い)を感じた。

そんな訳で、どちらかの曲が好きな(だった)方は、是非もう片方の曲も聞いて欲しい。

個人的に彼らのliveパフォーマンス初めて見たが、この曲はコーラスワークが肝とも言えるのだが、コーラスは完全にオケ(音源)に振って、口パクの体裁すらバッサリ切り捨て、各員がパフォーマンスに徹しているのが逆に好印象を受けた。

一番の衝撃は、CD音源の倍以上増えているKENのラップだ(m-floぽさもあるが)。何となく彼のリスペクトする海外ラッパーへの熱意と影を感じるものの、不思議とやりすぎ感も感じず(むしろもっと行け!的な感情に)とても新鮮に聞こえる。

これまで、20年以上音源だけで聴いてたので、ずっと3人でラップを回してるイメージだったが、ここまでKENの独走だったとは。

というか、この曲の印象がもはやISSAとKENの曲に変わった。そういう意味では約1年後に発売された「if…」(2000)の前進曲ともいえるかもしれない。

聴けば聴くほどこのラップ技術は当人の努力は勿論だと思うが「ダンサーチームの中で一番向いてるからキミね」とかで任されたレベルの物ではなく、もともと結成の段階でラップのエキスパートとして選出されたのだろうというセンスを感じた。

モー娘。オマージュ?で 宙にジャンプ

既出の通り「小さな会釈」はB面曲である。

しかし、もう少し扱いが良ければと思うこともある。

A面でも通用するPOP感とクオリティも十分あると思うし、勿体無いという気持ちもあるが

世間一般的に、まだしばらくは「U.S.A」の余韻を引きづる時期なのは理解できるので、そこをポジティブに変換し生かすためにも

プロモのし易さも含めA面の「P.A.R.T.Y~」は必要だと思うし、こうしたA面があるからこそ、曲の世界観を突き詰められたとも思う。

しかし前Sg「」B面の「Do it! 宙にジャンプ」はRemixや、メンバー主導という名目で?簡易的ながらもちゃんとPVも作成されていた。

「小さな会釈」がこれらの曲に劣っているとは思えないが、インスト音源も収録されてるだけでも非常にありがたい事だし、B面曲にそれ以上を望むのは贅沢か。

ちなみにこの「Do it~」はモーニング娘。君さえ居れば何も要らない」(13)のオマージュ狙い(確信犯と思われ)曲ですね。

「U.S.A」発売前後は”ハロプロっぽい”というのも立派な宣伝文句でしたから、この曲もその延長線の戦略だったのでしょうが、色々あったので世間に出すタイミングが難しかったと思われ。

ハロプロファンとしては、「U.S.A」とハロプロ20周年(福田、市井、加護など含めモー娘歴代OG全員が各々ステージに復帰した結成以来初めての年だった)に張り巡らされたもうひとつの時間線

紅白でのDA PUMP&モー娘(+歴代OG)の返り咲き共演も観てみたかったが(DAPUMPの10月武道館公演へのハロプロサプライズ出演等も)。

まあ例のモー娘OGの一件が無くても、「U.S.A」が想定以上の大ブレイクを果たしていたので、結果的にDA PUMP側の影響は最小限に抑えられたと思いますが、どうしても妄想が膨らんでしまう。

小さな会釈 × ハロプロ!?

DJ-Syoさんによる『小さな会釈なしでは生きてゆけない (MASHUP)』の動画音源が面白いので紹介します。

「小さな会釈」と、ももちがいたハロプログループのBerryz工房あなたなしでは生きてゆ」けない」(04)のマッシュアップ?(というか主に各々のVoとバックトラックを入れ替えた)2曲を連続で聴ける音源です。

正直クオリティに関しては、非常に惜しいという感じで何度も聴こうという感じでは無いですが、2曲に共通するオリエンタルな世界観や曲構成など、新発見出来たりと2曲とも好きな方には、新鮮な気持ちで楽しみながら聞けると思います。

何より着眼点とセンスが素晴らしいと思ったので、エールの意味を込めて紹介しました。

長文になりましたがご覧頂きありがとうございました。

と言う事で、今回は年間2位に選んだDA PUMP小さな会釈」の楽曲レビューでした。

次回は1位のレビューです。なるべく早く・・・

Write Upしたい Write Upしたい!!

お楽しみに

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