シャッフルレビュー、遂に第30弾。
今回選んだ曲は、こちら
鈴木亜美『FREE FREE』
2007年8月22日発売。作詞作曲編曲 中田ヤスタカ。
テクノPopsとして、限界ギリギリまで攻めたサウンドが光っています。
ヒロインの変身シーンがエンドレスで続くかのようなイントロの時点で聞き惚れてしまいます。曲全体のキラキラでカラフルなデジタルサイバー感。このPVは曲の世界感をきちんと表現していていると思います。(ちなみに上記PVはショートバージョンです)
今聴いてもやっぱり格好良い。かなりマニアックでバキバキ、サイバーなのに非常に聴きやすい。
“鈴木亜美”というだけで、スルーしていたテクノPOPファンの方がいたら正直もったいない。Perfumeの初期シングルと同じレベルで、世間に受け入れられてもいいテクノPOPSだと思います。
そして、この曲の発売時期がまた感慨深いものがあります。
移ろいの早い音楽シーンで今も尚第一線で活躍し、日本のテクノPOPSに革命を起こした”Perfume”のターニングポイントというと、言わずと知れた「ポリリズム」ですね。
[MV]Perfume「ポリリズム」(Perfume)
NHKのコラボで話題を集め、暴発寸前だった「ポリリズム」は、この「FREE FREE」発売から3週後の 9月12日にリリースとなります。そんなわけで、この曲は「ポリリズム」(旋風)前夜の曲と言えると思います。
曲調的に言えば「嵐の前の弾幕」?という感じですね。Perfumeファンにとっても、あの当時(歴史の過渡期)の期待感や空気感も感じられる貴重な楽曲だと思います。
後年の鈴木亜美の中田氏との再コラボシングル「ONE」や「can’t stop the DISCO」もなかなかの佳曲ですが、楽曲の質的にはこの曲が光っていると思います。
ちなみに、この曲は翌年2008年2月発売アルバム『DOLCE』に収録されているのですが、この「FREE FREE」と、同じくB面の「SUPER MUSIC MAKER」が他の曲を食っています(他のアルバム曲が中田曲にイメージを寄せた感じも)
同年11月には、早くも中田ヤスタカ全面プロデュースの新作アルバム『Surpreme Show』もリリースされたので、『DOLCE』には無理して収録しない方がアルバム作品としては良かったのかなと思いました。ちなみに『Surpreme Show』自体はかなり良番です。中田ファンはマストだと思います。
当時のPerfumeブレイクも受けて、まさに旬の”中田ブランド”の流れに乗っかれとばかりのavexサイドの意向は重々伝わってきます。(まあ、ビジネスならば当然ですが)
さて、残念ながらセールス的には振るわなかった『DOLCE』ですが、その2ヶ月後に、遂にあのPerfume『GAME』と登場となります。
この「FREE FREE」を含め、鈴木亜美の中田ヤスタカ楽曲はあまり大きくスポットは当たりませんでしたが、『GAME』前後の中田氏の音作りの空気感がパッケージされた貴重な楽曲群だと思います。
ということで今回は、Perfumeの「ポリリズム」からの大躍進ストーリーともクロスしていた、鈴木亜美「FREE FREE」でした。