三戸なつめ『なつめろ』アルバムレビュー Perfume・きゃりーも スキとゆう世界

ヤスタカファンも必聴の三戸なつめのアルバム

新作Pick up今回は4月26日に発売された、

三戸なつめのアルバム『なつめろ』を取り上げます。

待望の初商品化「おでかけサマー」

まずはアルバムにも収録されている、初CD化の新曲「おでかけサマー」(2016)の紹介です。

なつめファンの皆さん、待ちましたね、PV公開から約1年。なので、皮肉な事に曲の季節感としては1周回ってそこそこタイムリーですね^^;

三戸なつめ 『おでかけサマー』 (三戸なつめ Official YouTube Channel)

レトロボサPOPS、良いですね、PVの60?70?年代風の水着も印象的ですが、

映像全体のゆるサマバケ感と柔らかいレトロ感が、曲の雰囲気とマッチしてて心地良いです。

曲やPVも完成度高くてフルで出来ているのに、ポケムヒキャンペーン コラボソングでもあるので、もしかしたらスポンサーの権利関係でCD化に時間が掛かってしまったのかな?と思い、サビの歌詞(”おでかけサマー モスキート You”)変更になってるかな?なんていらん心配してましたが、サビの歌詞ものままなので、単にリリースタイミングを失ってただけだったようですね。

ただ歌詞カードで確認したら、このフレーズの歌詞が「おでかけサマーもスキとYOU」だったのですね。PVでも表示されていて、何回も見ていたのに気がつきませんでした。

ということで、アルバムの本命曲を紹介したところで、アルバムレビューです。

新規リスナーこそ 聴きやすいアルバム

2016年4月26日発売。三戸なつめ『なつめろ※色付きはオススメ曲

1. 前髪切りすぎた (1st Sg)      2. おでかけサマー(初商品化) 3. 8ビットボーイ (2nd Sg)

4. I’ll do my best(3rd Sg) 5. コロニー (1st Sg c/w) 6.ハナビラ (4th Sg c/w)

7.もしもクッキング (3rd Sg c/w) 8.なつめろ(新曲) 9.パズル (4th Sg)

10.ねむねむGO (新曲)  11.わたしをフェスに連れてって (2nd Sg c/w) 12.風船と針 (新曲)

なんというか、実質アルバム用新曲3曲と中島美嘉ばりの、既存曲に埋め尽くされた作品ですが、その分タイアップ作品などが溢れたPOPなアルバムになっています。

アルバムのダイジェストの動画がこちらです。

三戸なつめ ファーストアルバム「なつめろ」ダイジェスト  (三戸なつめ Official YouTube Channel)

ちょっと昭和感のあるフォークEDMが軸としてありつつ、普通のポップスもあれば曲毎に、コミカルだったりレトロ、テクノ、カントリー、和モノだったりごった煮感があるので1枚の流れも通して味わうオリジナルアルバムというより、それぞれ独立している世界感を聴くシングルコレクションの雰囲気ですね。

個人的な感想としては、8曲目までは聴いたことある曲なので、新作アルバムを聴いている実感がありませんでした。正直新曲3曲は可も不可もない曲だったので、初聴時はアルバムとしての印象がほとんどありませんでした。

ただ、収録曲自体は一定以上のクオリティを保っているので、決して悪いアルバムではありません。特にこれまで気になってたけど、ちゃんと聴いてなかったという新規の方には、素直に「おー、結構良い曲色々あるじゃん♪」と、好印象のハズ。そうです、このアルバムは新規リスナーの方に特にオススメ出来る1枚です。

Perfume、きゃりーファンも

曲の世界観がどこかレトロ風なフォークEDM系です。もちろん、Perfumeやきゃりーぱみゅぱみゅなど、中田ヤスタカ ファンも、聴いて楽しめる1枚だと思います。

きゃりーと被ってない?という声もあるでしょう。確かにメディア展開や曲のリソースについては、多少思う所があるかもしれませんが、2人共同じ事務所(アソビシステム)所属なんですよね。だとしたら、後は(配分は)事務所の意向による所が大きいので、我々リスナーは諸策をせず楽しんだ方が得ですね。

また二人をわかりやすく言えば、きゃりーはショートケーキ、三戸なつめはみたらし団子で、異なるタイプですね。

そして、きゃりー(プロジェクト)は綿密に計算されてお洒落に奇をてらう、徹底的プロフェッショナル集団のイメージに対し、三戸なつめサイドは一見考えてるようで、こんがらがって誰得メダパ二状態な、ちょいダサ庶民(昭和)感、隠し味が後からじわじわ来る職人系なのかな。ともかく、似てるようで、タイプが違うのでファンの方も変にライバル視せず大丈夫と思います。

「風船と針」に見る イメージと現実

何度もリピートするうちに、アルバムの新曲では「風船と針」が気に入りました。可愛らしいサウンドのミディアムバラード曲です。

思えば、そのビジュアルやCMイメージから世間の(商品としての)彼女への印象は、古くはゆうゆ、10代の頃の篠原ともえなどのような、分かりやすい明るく弾けたコミカルチックなキャラクターの印象があるかもしれません。

しかし彼女の場合は、前髪というパーツにおいてそうであって、性格はどちらかと言うと大人しく真面目な印象があるので、この曲の「ずっといい子でい過ぎたの 風船を突っつく針がほしい~弾けたいの」のフレーズも深さを感じます。

文字通り、風船を割らないように守り続けてきたけど、時にはイタズラもしたいし元気に弾けたいという意味にも取れますが、イメージとのギャップや期待感から破裂しそうな心の開放、そして”暴れたいという方向性の「弾けたい」”ではなく、もっと等身大でいたいというメッセージにも読み取れます。

決して、壮大なバラードではありませんが、この少しミニマムで等身大のバラード曲は心にやんわりと来るものがあります。本当に、地味ですが3年突きの様に後からジワジワ来る感じです。大げさに言えばPerfume「願い」(2008)の三戸なつめ版と言えるかもしれません。

ここで、アルバム収録シングル(の一部)をもう少し触れていきます。

あまりにも短すぎた名曲「前髪切りすぎた」

1st「前髪切りすぎた」(2015)は鉄板です。

曲とキャラと世界感が最高点で合わさった楽曲で、ガチでこれを越える曲は、もう現れないと思います。一般向けでは負けていますが、曲のガッチリハマリ度で言えば「つけまつける」(2012)を凌いでいると思います。

そんな「前髪切りすぎた」のPVの中から、今回はこの和やか気分になるバージョンを紹介します。

三戸なつめ 『前髪切りすぎた-フレンドリー時代篇-』 

彼女の笑顔は基本的に藤本ミキティーだと思うのですが、このMVの彼女だけは柴咲コウを感じます。自分だけかな??

ドラマのストーリーも軽快で面白いし、色合いも暖かくかつハッキリしていて見やすいです。

彼女はやはりソロでの姿を見慣れているので、後半のみんなと一緒にワイワイ楽しそうに歌ったりしているシーンは新鮮で、ホッとするしこちらまで幸せな気分になります。

この曲については別記事で語っていますので、良ければチェックしてみて下さい。

三戸なつめ「前髪切りすぎた」レビュー こんな切ないチョキチョキを聴いた事ありますか?

ピクセルで描く「8ビットボーイ」

そして、彼女の一般人気と知名度が一番高い曲といえばこの曲でしょう。

2ndシングルの「8 ビットボーイ」(2015)、映画『ピクセル』日本版のテーマソングでした。劇場でご覧になって、あのニヤリと出来るエンディングで流れるこの曲がまた非常にマッチしていて、この曲を好きになった方も多いはず。

三戸なつめ 『8ビットボーイ』 (三戸なつめ Official YouTube Channel)

間奏の手のひらで8を描いてのゴリラ エイトダンスのカットなどは、リリース当初たしか無かったはずなんですよね。覚えてるのは、リリース時の映画のシーンが所々に挿入されたバージョン(1回目)、映画終了後(年末??)に映画のシーンカットのPV(2回目)、そして今上がってるのが翌年2016年3月公開のVer(3回目?)ですね。指で8の字を作る振り付けはリリース時から歌番組でもやってましたけど、それ以外は未だに見慣れない感があるのでもしかしたら振り付けのカットは追加で撮り下ろしたのかもしれません。

当時のレビュー記事でも、映画と共にこの曲についても語っています。

『ピクセル』アーケードに通いし歴戦の8ビットボーイたちよ、ポリゴンキャラを攻略せよ!

ワンルームディスコでの誓い 「I’ll do my best」

3rd Sgの「I’ll do my best」(2016)は、FF(ファイナルファンタジー)とメトロポリタン美術館ぽい世界観です。

三戸なつめ 『I’ll do my best』Music Video  (三戸なつめ Official YouTube Channel

PVはゲームぽい世界感です。背景や街の切り絵のアクセも素晴らしい。3色のパジャマビジュアルも有りですが、肝心のメインのビジュアルワークがキツイ。わざわざ金掛けてここまでしなくても・・・残念と思ってしまいました(あくまで個人の感想です)

曲は主人公は違えど、ある意味Perfume「ワンルームディスコ」(2009)の続編とも言えるかもしれません。こちらもリリース当時のレビュー記事があります。

三戸なつめ「I’ll do my best」切なすぎない フォークEDMの新曲

パズル / ハナビラ たどり着いたビジュアルPOP

三戸なつめ 『パズル』  (三戸なつめ Official YouTube Channel)

パズドラのアニメ主題歌だった事もあり一般向けの普通のPOPSです。

この一見、個性を落としたように見える、4th Sgの「パズル / ハナビラ」(2017)の正統派アートワークはベストだったと思います。(初めから、これでえかったんや^^; しかし、とき既にお寿司か・・・)

デビュー曲も、この普通のお洒落風女子と怪曲「前髪切りすぎた」のギャップが欲しかったですけどね(どっちも怪に振り切っていた為)。せめて、PVの種類が10種前後もあるならば、正統派の物が1つくらいあっても良かったかもしれません。

そんな当時(2016年)のモヤモヤを語った記事がこちらです。

三戸なつめ 改造計画

ちなみにアルバムアートワークは、恐れていたデコ出しのドアップじゃなくて良かったですが^^;

しかし、裏ジャケ感があるというか、中途半端で弱々しくメインな感じがしないのが残念ですね。でも中ジャケの、白髪のIMALU風女性のジャケットはデザインやバランスも良くて好きなので、これをメインジャケにした方が、「どうだファーストアルバムだ!」感があって良かったかもしれません。

なつめ的 音楽活動の今後

やはり、彼女の場合は音楽のクオリティ(とタイアップなどの金の掛け方含む)に対して、残念ながらセールスが、非常に厳しい状況だと思います。

歌手デビュー当時から1stアルバムが、オリジナルかベスト盤になるのか分からないけど、1枚は確実に出るはずだから、そこまではなんとか音楽活動を頑張って欲しいなと思っていました。

今回アルバムが無事発売されたことで、シンデレラ城の鐘は12時になりましたが、魔法は解けてしまうのかどうなのか。とりあえず彼女は絶対、リアルタイムを知らない世代に、後年また支持されるタイプのアーティストだと思います。

ですが、彼女の新作音楽も、もう少しみたいという方は、是非彼女の作品をチェックして見て下さい。確実にプロジェクトの延命に繋がります。

こうした世界観とクオリティ(ヤスタカ氏次第ではありますが)を持つアーティストはなかなか貴重ですので、今のように派手なメディア展開でなくてもまた、新作が聴ける事を願って。

ということで、自分でも驚く程長文になりましたが、ご覧頂きありがとうございます。

以上、三戸なつめ『なつめろ』アルバムレビューでした。