シャッフルレビュー第47弾。今回はこの曲です。
安室奈美恵「White Light」
2005年11月16日発売の両A面Sg『White Light / Violet Sause』より。
・作詞作曲 Nao’ymt
寒い時期にピッタリな、ウィスパー系Christmas・Winterバラード。
White Light / 安室奈美恵 (Namie Amuro) AmuroNamiech
得意のダンスナンバーでも、「think of me」や「ALL FOR YOU」の様に歌い上げるバラードでも無く。
バラード曲の中でもしっとりと響かせる、ウィスパータイプの曲です。こんなにも肩の力が抜けた曲は、彼女のシングル曲でも他にないと思います。
こういうポジションの曲もあるのは良い事だと思います。同年夏の『Queen of Hip-Pop』での再建があったからこそ、少し余裕も出来たのかなとも思います。
雰囲気は、甘く優しい、けど可愛らしくなり過ぎずGirly chickな感じ。
PV全体のセピアトーンも曲の世界と相まって良い感じです。
Sg発売の翌月にはこの曲のPVも収めた、5年振りのPV集『FILMOGRAPHY 2001-2005』が発売されました。
リスナーへのギフトアイテムの側面もありつつ、アルバム先行ならぬ、PV集先行シングルだったとも言えるでしょう。
安室作品の印象
この曲は、長らくアルバム未収録曲でした。Sg発売から10年近く経ち、バラードベスト「Ballada」(2014)にて初収録。(ちなみに両A面のもう1曲「Violet Sause」は『PLAY』(2007)に別Verで収録)
彼女はB面の曲も、AL未収録も多く、時にはこの曲の様にSg曲ですらバッサリとAL収録を見送ったりと、アルバムだけチェックするライトユーザーには、あまり親切ではないのかもしれませんが
シングル盤の作品意義もちゃんと持たせるというのはある意味、音楽アーティストとしては理想的ですね。
例えばDVD付きのCDを出す時も、敢えて2曲目のPVを収録(例「スピードスター」)し、その後のPV集には未収録のように、どのアイテムを買ったリスナーも損しないように、キッチリと住み分けを行っているアーティストの印象があります。
衝撃の「Present」
さて、この「White Light」に出てくる恋人たちのその後を描いた曲があります。「Baby Don’t Cry」(2007)のB面に収録の「Nobody」という曲です。
歌詞が全て一新されています。ちょうど約10年前ですね、リアルタイムでしか聴いていないのですが、基本的なメロディー構成などは同じだったはず。
こうした姉妹曲があること自体も珍しいのですが、強いてあげれば他には「present」(1996)ですかね。
この曲も、「Don’t wanna cry」(1996)のB面に収録のオリジナルと、その後『SWEET 19 BLUES』に収録のアルバムVer(←表記自体は無し)の2タイプ。
大人っぽいジャジーな雰囲気のアルバムVerの方が圧倒的に認知されていると思います。イントロのFFのプレリュードっぽいBG音も好きです。
このVersionしか知らない人が、オリジナルを聞いたら、多分ひっくり返りそうになると思います。
オリジナル版は、曲の半分がセリフパート(しかも恋人への留守電への会話風)で思い切りアイドルソングぽいです。個人的にはサビで微かに聞こえる囁きコーラスも聞き所ですね。
内容的には、海外で働く彼と日本で働く女性歌手(恐らく本人設定)の遠距離恋愛中のやりとりですね。とはいっても、留守電で女性側の一方通行のメッセージとなっていますが。とにかく「会いたい」というワードが強調されています。
“会えなくて寂しい”みたいな、いわゆる「萌え」な要素が満載。とはいっても、そこはTKプロデュース、全体的にはお洒落な感じだし、情熱や躍動する日々の、つかの間のリラックスな感じで、いわゆる多忙な全盛期にこうした抜け感のある曲の存在は、ファンには少し安心出来たかもしれません。
この曲の作詞の前田たかひろさんのHPで、歌詞付きでこの曲についてご本人が直々に語っています。(Sg/ALそれぞれ有)
『週間 前田たかひろの作詞屋のDNA』PRODUCT 内「present」についてのページへ
ちなみに上記、前田氏のページで、ページ上部のタイトル右横のLISTのボタン(小さい^^;)を押すと
他にも安室奈美恵はもちろん、trf、篠原涼子、hitomi、鈴木あみ等のTKファミリーの曲や他にも懐かしいアーティストの曲の作詞レビューも見れますね。
個人的には、鈴木あみの「EVIDENCE OF LOVE」(2000)の詩を25分で作ったというエピソードが驚きました。
衝撃の引退発表と『Finally』
先日、来年の9月に引退すると発表がありましたね。ここで少しだけ触れたいと思います。(このレビュー記事は他記事との兼ね合いにより11月になりましたが、9月末に書いた記事です)。
個人的にはTK時代から彼女のファンですが、歌1本へのスタイルへと徐々に変化させる事も出来たでしょうが、まあ全力で歌って踊って自分の中での、理想のパフォーマンス像があるでしょうから、最後までそのスタイルでやり切る、そこにこだわりたかったのかなと思います。残念は残念ですが、本人が望むことならばと。
彼女は昔からオフのエピソードからも「プライベートは、ほっといて欲しい!」とハッキリしている人だと思うので、マスコミが騒げば騒ぐほど、彼女の復帰の可能性は正直消えうる可能性は高いとは思います。悔しいですが。
でも、これだけは言いたいのは、大々的に引退したから、数年でひょこっとは戻ってこれないなんて、気負うこともないですし、訳の分からない気まずさに遠慮する必要もない。
彼女の人生だし、そのまま完全に戻って来ないのも自由だし、それと同時に何かやりたい事が出来たら、戻ってくるのも自由だと思うので。
どっから目線だという感じですが、引退後の彼女には”戻ってくる自由”もあるのだというのを覚えていて欲しいと思います。(まだ今すぐ引退ではないが)
やはり、彼女はライトを浴びて輝く人間だと思うので、きっといつか表現の仕方は変わったとしても、何か発信してくれる日が来ればいいなと心の中で思っています。
そして11月8日には新曲を含む、ベスト盤『Finally』が発売されますね。
事務所独立以前のSg曲は歌い直しという事ですが、収録曲のほとんどですね。密かに新曲より楽しみな人も少なくないはず。
「White Light」をはじめ、自分の推し曲は選曲から外れているのが、残念ではあるものの、まあ王道じゃないからこそ好きだったりするんですけどね。せっかく歌い直しあるならば、せめて今の「Dreaming I was dreaming」も聴きたかった。
とりあえず、歌い直しはどのアーティストでも、思い入れ補正もある原曲越えは難しいものですが、もう一つのアナザーVerとしても『Finaly』も楽しめそうですね。
去年のSMAPの時は1月に解散騒動があった時、レビュー記事をずっと書きたいと思っていたのですが、結局その年に書く機会が無く、12月のベスト盤発売時にガーッと書きました。
安室さんの場合も、そうなりそうだと思ったら、あっさりとレビュー候補曲に「White Light」が出て来たので、よしこれを書こう!と決めました。
後から書ける事もありますが、ニュースになったその時期の感情も、生ものでもあると思うので、今回は良い機会になりました。
とは言っても、まだ1年弱ありますから、楽しいことも沢山あるはず。彼女のファンの方は良い1年にして下さいね。
どんな夜も次回も、怖いなんて思わず、お楽しみに。
コメント
メロウでジャジーでアダルトなポップスと言う感じで素敵ですね
産休前ラストシングルのDreaming I was dreamingも似たような雰囲気の曲ですが切羽詰まったような関係性のDreaming~とは違ってWhite Lightの2人は大人の余裕が感じられます
Dreaming~のPVは高級クラブのような場所でスタンドマイクでほぼ直立不動で歌う安室奈美恵と言う映像で踊らなくてもオーラが素晴らしくて歌に専念しても十分行けるんじゃないかと思いました
Balladaのリリースは加齢でダンスが難しくなることを見越してボーカリストとして活動していく布石かと思っていたんですが結局引退になるのは寂しいことです
マドンナのように歌は口パクでダンスに専念したりあるいは踊らない歌手として活動する道もあったとは思いますが本人の美学を尊重したいと思います
>Dreaming~のPVは高級クラブのような場所でスタンドマイクでほぼ直立不動で歌う安室奈美恵と言う映像で踊らなくてもオーラが素晴らしくて歌に専念しても十分行けるんじゃないかと思いました
コメントありがとうございます。そうですね、歌い踊るだけじゃなく、若くしてこうしたステージングの魅せ方が出来るのは、才能だと思います。
Dreaming~は、リスナー人気は非常に高いですし、歳を重ねれば重ねるほど映える曲調でもあるのに、ほぼ封印状態なのは、彼女がよく言う「ライブ栄えする/しない」云々よりも、リリース時期は幸せそうに見えましたが休業間際で(迷惑をかけたスタッフ達への申し訳なさとか)裏側でも色々あっただろうし、95年以来のTKプロデュースを外されたSgだったりと、実際は本人とっては良い印象じゃない(あまり思い返したくない時期)なのかなと勘ぐったりもしますが・・・。
>マドンナのように歌は口パクでダンスに専念したりあるいは踊らない歌手として活動する道もあったとは思いますが本人の美学を尊重したいと思います
そうですね、本人の美学。それがあるからこそこれまでの功績もあるのだと思います。何年後の話は誰にも分からないし、またいつかステージに立つ事があるかもしれませんが、ここで本人の美学として一つの大きな区切りを付けるのも、彼女がさらに前進するための大きなステップなのかもしれません。
「セールスの減少等で活動が難しくなってきて~」を感じる引退だとやるせないですが、彼女の場合は本人の意思が第一にあって、明るく前向きなので、寂しさはありますが、そんな彼女の美学に拍手を送りたいですね。^^