ちょっとマニアックなシャッフルレビュー第28弾。
今回選んだ曲は、こちら。
松任谷由実「BLIZZARD」
・作詞作曲 松任谷由実 ・編曲 松任谷正隆
1984年12月1日発売AL『NO SIDE』収録曲。
タイトルフレーズのサビでCMやTVの冬のBGM等でも数多く使用されている。
松任谷由実 – BLIZZARD(from「日本の恋と、ユーミンと。」) /
誰しも一度は耳にしたことがあるであろうこのサビのフレーズ。
自分もこのフレーズの印象が強くて大人から子供まで「ブリザー、どブリザー♫」と
腕を左右に振りながらニコやかに合唱するような、優しい曲のイメージでした。
しかし、初めてちゃんと曲を聞いたときに軽く衝撃を受けました。
極寒の冬の厳しさを印象付けるかの様な、強烈なイントロ。
そして、Aメロの途方に暮れそうなほど白い息が空に昇るような世界観。
サビのバックトラックは、ゲレンデの開放感や雪の大海原を感じます。
こんなにもソリッドでパワーを合わせ持つ楽曲だったんだなと、気付かされました。
分かりやすいサビの歌詞と雰囲気で曲の先入観を持っちゃいけませんね。子供ソングなんて思っていた自分を氷結したい。
ドラマチックで大人な世界観です。
※以下後日公開された、フル音源版。
また、この曲はゲレンデというか「雪山」というイメージです。
晴れて陽が出ているときは、雪の絨毯の上でも温かく空気も澄んでいて昼寝すら出来そうな感じなのに、
雲が出て吹雪いたりすると、たちまち山は顔を変え、氷雪に囲まれて警告を受けているような気分になったりと。
そうした優しさ・厳しさの2面性を持っていることも、曲の世界観と雪山が重なります。
「内足の癖、直せ!」「バーン!!」
この曲は後に三上博史・原田知世 主演の『私をスキーに連れてって』の劇中歌としても使用されました。
ネタバレになるので詳細は避けますが、劇中でも非常に効果的に使用されており、情感を盛り上げています。
この映画内に見られる週末のスキーツアー、雪山でのカーレース、ロッジでのパーティー(コンパ?)など、映画の方も古き良き80s90sの空気感があって、今だからこそ突っ込みながら楽しめる作品だと思います。
俳優陣も豪華で、大人も無邪気に遊んだりふざけたり。コミカルな高橋ひとみや、沖田浩之の「とりあえず」のシャッターの掛け声も良い。
ドクター役の布施博が、オペ中に助手に受話器を持たせ、笑いながら会話していてミスする(コント調ですが)ブラックユーモアも。
昔はよく冬のシーズンに地上波でも放送されていたのにピタっとしなくなったのは、時代の流れ(スノボーブーム)だと思いますが、下世話なクレームが来たのかな?とも勘ぐったりします。
作品全体に流れる、和む空気感は今の社会が失っているものの一つだと思いました。この作品の大ヒットを受けて『彼女が水着に着替えたら』『波の数だけ抱きしめて』と劇場作品が制作されましたが、やはり今作が大好きだ。
この映画製作のホイチョイプロダクションズの独特な世界観好きだ。
DVD化した当時、スタッフさんによるオーディオコメンタリーで面白い裏話が聴き応えがあってより好きな作品になった。
例えば「A HAPPY NEW YEAR」をBGMに車を飛ばすシーンで、普通だったら車の熱で溶けるハズなのに何故か山盛り雪などのエピソードや、当時の俳優陣の役作りや時代背景もてんこ盛りで、これを観ることで本編をもっと楽しめるはず。
と言う事で作品が好きな方は、是非ソフトを購入がオススメです。
ということで今回は、松任谷由実「BLIZZARD」でした。