三谷幸喜『ギャラクシー街道』レビュー 宇宙の片隅のハンバーガーショップにて

こんばんは、1歩ずつ冬が近づいていますね。喉がイガイガしてきました。
ヤバイ、こんな時でも気になっていた
 
三谷幸喜さん 脚本・監督の話題作『ギャラクシー街道』(東宝)を観てきました。
 
感想などを書いていこうと思います。基本設定以外のネタバレ無しです。
 
 
あらすじ(以下敬称略)
西暦2265年、かつて賑わいを見せていた
ギャラクシー街道」と呼ばれるスペース幹線道路と、
そこで営業している寂れたハンバーガーショップ「サンドサンドバーガー」。
そこで働く従業員たちと異星人たちの騒動がコミカルに描かれています。 
 
 
「宇宙で何も出来ない人が、どこに行っても成功するはずがない」的なセリフをながら見で聞いた時
“あ、これは好きな奴だ!”とピンと来て、これは観てみたいなと思いました。
 
少し調べたら三谷幸喜監督作ということで、「間違いない!」と即決。
「あーさんまのまんまで、綾瀬はるかが告知してたやつがこれか!」という位で、
前知識ほぼ無しで映画を観に行きました。
 
なんとなく、海外ドラマっぽい設定なので、
映画も終始ゲラゲラと笑いが起こるような内容を期待していましたが
ニヤ、ピタッ。・・・クっ。な感じですね(←分かりにくい)。
人を選ぶ笑いというかそこまで、人前で笑える雰囲気は少なめだったと感じました(あくまでも個人の意見です)。
 
家でくつろぎながら見る分ならば、結構笑えると思います。
個人的にレイこと優香の某変な癖は好きです。
 
三谷幸喜 x 香取慎吾ということで、観ていて
かつての両者タッグのシットコム「HR」を思い出しました。
 
笑いも、ちょっと力技が多めですね。
まあ「HR」までの、舞台感ドタバタ感は後半の一部を除いてほとんどなく
淡々とストーリーが進んでいく感じです。
 
バーガーショップや宇宙のセットも
アメコミチックで色調もPOPに作りこまれていて綺麗です。
 
ただ、三谷作品に多いですがやはり男性陣の比率がかなり多く、
全体的に画がややむさ苦しいです。空気感は綺麗なんですけどね。
 
(1名を除く)数少ない女性陣が今回皆ビジュアル面(メイクや髪型など)で
狙ってハズして来ているので、出演している女優陣は豪華なのに
スクリーンの画的に、華が弱く感じてしまいました。
 
宇宙(人)の世界観は分かるのですが、
全員が3枚目な仕上がりなのはいかがと思いました。
(素材は皆良いので)アレンジするにしてももっと方法があった気がします。
 
せめてヒロインの綾瀬はるかは人間役ですし、髪型くらい宇宙人カットにせず、
もっと無難に可愛らしく見える髪型の方が、
映画全体のパワーバランスが良かったと思いました。
 
唯一、好印象だったのが、マンモ隊員ですね。
彼女だけ髪型も普通。決して露出が高いわけでもないのに
滲み出ている、健康的(スポーツマン)な色気か凄かったです。
 
観ている最中にこの女優さんは、見たことある気がするけど誰だろう?
グラビア系の人かな?と気になりましたが、
後に元AKBの秋元才加だと知り、驚きました。
 
良い大人の女性になっていると思います。
他の女性陣の3枚目アレンジが、まさか
彼女を引き立たせる為の戦略だったとしたら、大成功ですが。
 
ハシモトこと段田安則の周囲に現れる動物のアニメの演出は大好きです。
予算かかりそうですが、こういう「メリーポピンズ」チックの演出は良いですね。
 
白塗りの謎の男は、狙いだと思いますが、やはり見る度ドキッとしますね。
マ〇ドナルドのキャラクターもそうですけど、ああいうピエロみたいなメイクって、
“愉快・ユーモア”や”笑わせる・楽しくさせる”というのが根底にあって、
思考されて作られているはずなのに、何故か”怖さ・不気味さ”の方が勝ってしまい
ドキッとしてしまうのですが、自分以外にも同じような方いるのでは。
なんでだろう?本能として「白塗り」が怖さを感じるポイントなんですかね。
 
ハナこと大竹しのぶさんは、今回一番期待していました。
まあ、監督のハナというキャラへの狙いは十分伝わって来るのだけど、
大竹さんがパワーを持て余してる感がすごくあって、ちょっともったいなかったです。
 
全体を通して、映画というより、それこそ「HR」のように連続ドラマ向けの作品だった気がします。
 
 
登場人物も多かったので、どうしても映画の尺では
各キャラクターの紹介+αで位で寂しいものがありました。
それぞれの個性はしっかりしていますし、
各俳優陣も演技派ばかりで素晴らしいのです
映画では生かしきれていない部分や、
もっと話を広げたいのにカットしたのだろうなと感じる部分もありました。
 
そういったこともあり、この背景設定とキャラクター設定で
毎週繰り広げられる(スピンオフの)シチュエーションコメディーがあったら
かなり面白そうだなと思いました。
 
三谷さんの映画作品は「ラヂオの時間」と「THE 有頂天ホテル」位しか見たことはありませんが、
「王様のレストラン」「やっぱり猫が好き」、「古畑任三郎」のように、
あくまでも現実で、かつ空間もある程度限られている方が、
三谷節が絶好調になるような気がします。
 
今回も決して、舞台(フィールド)自体は広すぎている訳ではないのですが
設定が広すぎて、何でもありだからこその障害、
自由の中の不自由さを感じました。
 
先にも書いたように、三谷さんは不自由(制約がある)の中で、
いかにその範囲内で暴れてやろうかのパワーが凄い方だと思うので、
またいつか、そんな作品も見てみたいなと願っています。
 
 
今回の映画は賛否両論あると思いますが、個人的にこういう世界観や設定で
真面目にやる作品は大好きなので「ギャラクシー街道」は観て良かったです。
 
ただ、大笑いできる大作映画と思って見に行くと肩透かし喰らうかも知れないので
これから観に行かれる方は、ゆるめの海外コメディードラマを
大画面テレビで見る感覚で行くとより楽しめると思います。
 
気になってる方はチェックしてみてはどうでしょうか。
 
 
 
DEHA!!
 
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