シャ乱Q「Become」モー娘 I WISHの都市伝説と ガキの頃から解ってた事

今回は予告通り、順序変更して

筆者が2021年に聴いた曲の中から

年間3位に選んだ、この曲のレビューです。

シャ乱Q「Become」

1998年3月25日発売のAL『孤独』収録曲。

作詞作曲 つんく

夢と現実と孤独の狭間を描いた、儚くも尊いフォーク曲 ☆4

サビで、詩人のようにファンタジーな言葉を並べ弾き語ったかと思えば

そのあと自分で、そんな事は幻想だと解ってる!とひっくり返す。

痺れますね。

理想と現実の間で、肩を落とすようにしながらも

光や出口を探っている様な 人間の孤独が流れるように表現されていて、

去年1年よく聴いていて大好きな曲になりました。

と、同時に(今も)この曲を聴く度に

脳内に浮かぶ、非常にリンクする曲があるので紹介します。

その曲は、この「Become」が世に出た約2年半後に、

つんくプロデュースのアイドルグループのSgとして発売されました。

モー娘「I WISH」に秘められた謎?

2000年に発売されたモーニング娘。「I WISH」は、人生って素晴らしい~♪のフレーズでお馴染みの大ヒット曲。

ゴスペル調サウンドに、少女達の孤独や葛藤、普段の日常の中に夢や希望の光を求めて~の様な曲なのです。

モーニング娘。’22『I WISH』Promotion Edit (モーニング娘。)

※6月8日に発売のモーニング娘。’22のSg『Chu Chu Chu 僕らの未来/大・人生 Never Been Better!』の初回限定盤SPに現役組が再録した「I WISH」が収録されています。

一見、若い子の夢や憧れを描いたピースフル(棒)な世界と思われがちな曲でもありますが

2003年頃かな?「I WISH」のオーラスで、

でも 笑顔は大切にしたい」という

逆説的な接続詞に注目が集まり、ちょっとした都市伝説的な感じで

モー娘ファンの間で、その解釈が話題になりました。

つまりは

人生って素晴らしい ~中略~

Ah すばらしい Ah 誰かと  めぐり合う道となれ!“  のポジティブフレーズから

笑顔は大切にしたい ~”へと続く言葉ならば、

本来は「そう」や「だから」等の肯定的な接続詞が来るのが自然。

なのに「でも」なのだ。

表現が可笑しな歌詞なんていくらでもあるし

音楽という一つの作品の歌詞なのだから

正しい文法や表現じゃなきゃダメって事もない。

語感や、耳にした時の心地良さや、ニュアンス感を重視したり(後は文字数の関係で、言葉を言い(置き)換えたりするケースも多いと思う)

それらは重々承知の上で

「でも」と前置きする事で、この歌詞の主人公は

本当(現実の世界)は違うと分かっていると解釈できる。

笑顔で居る事すら、簡単な事ではなく、無くしたり忘れてしまいそうになる現実世界。

だからこそ、せめて”I WISH(希望)”を込めて、

それでも人生は素晴らしいものなのだと(思いたい)という表明を世間に叩きつけているんだ!

そんな感じの解釈が、当時某掲示板に書かれていた。

そんな背景を考えてこの曲を聴く(観る)と、

笑顔で歌っていること自体が、それだけで重く深い意味を持っていると感じられる。

(ちなみに、病室から出られない女の子が主人公で

その女の子の夢を具現化したのがあの原曲PVの世界になっているという解釈もありましたね)

ともかく、ミュージカルの様に

十代の少女が、現実を解った上で 夢や理想像を叫んだ後

重みのある「でも」なのだ。

感化された自分は当時、特にヲタでもない知人に「I WISHのメッセージは、本当はこうなんだよー!!」と力説したのを思い出すが^^;

つんくさんに、考え過ぎと思われようと、

ポジティブな方向性での妄想ならば、こうした解釈も大いに有りだと思う。

作品の解釈は無限大で、パッケージ化された後も、

そのエネルギーは様々にカタチを変えて、それぞれに違ったパワーや物語を生み出す可能性を持っているのだから。

リスナーとしてはその作品に奥行を持って接していけるし、

さらに好きになれるWin Win効果しかないから

そう考えていたほうがより幸せになると思うし

少なくとも自分は今後もずっとそんな解釈でいたい。

ちなみに

ひとりぼっちで少し  退屈な夜

 私だけが淋しいの?」(I WISH)

に対し

俺より孤独なのは  どこにもいないと

 誰もがそう思う  誰もがそうだろう」(Become)

などバンドとアイドルの表現の違いはあれど

リンクしている箇所も多いので、気になった方は聴き比べて見て下さい。

「でも・・・」の前に込められたフレーズ

「Become」はサビで「星や月になりたい」と語りつつも

最後に「そんなこと無理だってガキの頃から全部解ってる」と締めて

自ら一蹴しているとこが痺れる所なのですが、

まあ、星や月になりたいに比べれば

同じ風景でも何かみつけよう!」等というのは決して、無理なことだとは思わないが。

(物質的な事変化はともかく、感覚的なものはキャパシティもなく自由に姿を変えられる)

だが、理屈では諦めつつも、

それでもつんく氏の、この世界への望みが「I WISH」の彼女らに託されたとしたら。

「Become」では悟り的な諦めと、世間から舐められたくない皮肉を込めているのに対して

「I WISH」では現実に直面し、挫折や現実にぶつかった後での自分自身への慰めも含めると共に

理想を語る彼女達を嘲笑う世間やガヤに対しての挑戦と希望を込めて

“そんな事無理だって解ってる”と言ってる気がする。

さあ、いよいよ大詰めです。

「Become」の

風になりたい 雨になりたい

 月になりたい 星になりたい

 そんなこと無理だってさ

 ガキの頃からわかってる”

のフレーズが、「I WISH」のラスサビ

“でも、笑顔は大切にしたい

 愛する人のために”

の歌詞の前に含まれ(隠され)ているとしたら。

どうでしょう、解釈は無限大で正解なんてありません。

ただ自分はこの「Become」と出会った時に、

「I WISH」のでも」の理由の一つに触れられた気がしました。

と言う事で、今回はシャ乱Q「Become」楽曲レビューでした。

次回は、やっと2021年の年間ベスト曲のまとめ記事をアップ出来ると思います。

お楽しみに。

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