シャッフルレビュー第11弾。※追記有り
今回選んだ曲は、hitomi「flow」です。
2002年8月21日発売25枚目のシングル「BLADE RUNNER」との両A面。
・作詞 hitomi ・作曲 鈴木秋則 ・編曲 渡辺善太郎
・TBS系「サバイバー」テーマソング ・三菱電機「ムーバD251i / ムーバD504i」CMソング
20枚目のSg「INNER CHILD」(01)以来となる、元センチメンタル・バス 鈴木秋則 作曲の
夏の終わりにピッタリなバラードナンバーです。
愛想悪い(褒めてます)ホラーなPVがこちらです。
hitomi / flow (avex )
終末感があるサウンドに可愛らしい歌声のミスマッチ感も良き。
この年の曲ではTOP3に入る位好きで、今でも好きな曲です。
集大成な歌詞
歌詞についても、これまでのワークス集大成的な感じがして好きです。
ラスサビの英語と日本語の入り混じるのも良いです。
かつて「GO TO THE TOP」(95)で
”なくしちゃいけないものも 今ならもう分かるの”
と歌われていましたが、本作では
”失くしちゃいけないモノ また取り戻せるかナ?”
と意味深に引用されています。
全体的に希望と喪失、儚さや脆さが溢れつつも、
hitomiさん特有の救い感がある歌詞も好きですね。
「私が汚してしまったモノ 洗い流せるまで この風を受けて」のフレーズも素晴らしい。
TBS系の海外で大ヒット番組となっていた
「サバイバー」の日本版の番組テーマにもなっていました。
そういえばこの辺りの時期は「クイズミリオネア」など、
海外人気番組の輸入番組も流行っていた気がします。
海外ドラマも人気でしたしね。
タイアップとはいっても、それを感じさせるのはCメロの
「深い深い海に眠っていた~」のフレーズ位で、
後は特に気にならないのが楽曲としては幸運だったと思います。
当時、本人出演の携帯電話器メーカーのCM曲にもなっていて、
海で7、8人の若者グループでバーベキューや、
花火をしてワイワイやってる楽しげな内容でしたが、
明らかにhitomiさんだけ溶け込んでなくて、
無理やりカンパーイ的なシュールな空気感で、
バックに流れるこの曲が妙にハマってて逆に印象的で頭に残っています。
攻めたビジュアルワーク
PVで履かれているのは人髪により作られたスカート。
(この年の前半に彼女自身バッサリショートカットにはしていますが、本人のものではないはず)
タバコもそうですが2番以降のシーンのスキンヘッド姿だったり、触覚ウニョウニョしたり。
見る人によっては吐き気がする様な世界観。
ビョークさんをイメージしたようなPVは好きでも嫌いでもありませんが、
それでも無難にせずに攻めている姿勢は、けっこう好きです。
当時新人で注目されていた中島美嘉も意識して、
目元もキツくしたのかな?とも思ってました。
ともかくPVにおいては、ベスト直前(位置的には先行シングル)にも関わらず
一般受けを無視した、「愛想悪いビジュアル」(褒めてます)にしたのは個人的に好印象です。
この時期の彼女のビジュアルワーク、この曲のシングルジャケも好きですが
PVのアートワーク等も結構攻めているものが多くて好きだったのを覚えています。
ちなみにこのシングルの発売後9月4日発売の2枚目のBEST「SELF PORTRAIT」(disk2は、新録曲等)にはライブ音源版で収録されています。
歌詞の変化 カナ?
初期からのhitomiさんの、尖ったポジティブ感や、不安溢れても立ち向かうような世界観。
それこそ、その切れ味も含めて作詞にいおいては浜崎あゆみの前駆者だったとおもいます。
そんな作詞の面において、このシングルとそれ以降で詞の世界観が大きく変わってます。
ベスト盤後しばらく休養期間、その間結婚等もありました。
休養明けの2004年2月発売の久々のシングル「ヒカリ」を買った時にアレ!?と驚きました。
ドライなPOPSで刺が無くなっている・・・と。それでも、その後も聴き続けていますが。
それまでも、いわゆるTKファミリー後も多少の詩の雰囲気の変化がありました。
個人的に「LOVE2000」(2000)が世間にウケてから、
作風がそれっぽい歌詞(成分)が一気に増えたように思います。
少し苦手なのですが”・・・カナ”の様に文章の語尾がカタカナになる頻度も
次第に増えてきてきますね。
それでも、ダーク感というか影の部分はまだ残ってましたが、
この「flow」以後では、格段に世界感が違います。
本人に光る作詞センスがあったのは間違いないですが、
それをサポート(補作)してたであろうスタッフチームも、
あゆやほかの新チームにスライドしたのでしょうか??
最新の曲になればなるほど感じるのですが湿度が無くなっていってます、
カラッカラッとしていて陽陽とした、明るい歌詞なんですよね。
もちろんそちらが好きな方も沢山いると思いますので否定ではありませんが。
結婚されたり、その後母親になったりという環境の変化で作風が変わるのは仕方ないというか当然でもあるし、成長という意味合いもあるし、それは人間らしいということで、
本来はその変化をリスナーとして喜ばなければいけないのかもしれませんが。
ただそれまでの、ブルージーかつポジティブなhitomiさんの世界観(『thermo plastic』がピーク)が好きだったので、なんとも複雑です。今でも新作が出るたびに微かに期待してしまいます。
そういう意味では、例えばaikoさんは初期からずっと、音楽として進化はしてても
根本の“少女性”みたいな芯は変わってない(というか意図して変えていない)ように思うので、
変わらないこともある意味すごいことなんだなと思いました。
人間としての成長と、世界観の変化は別なので。
(良い意味で)変わらない・変えないということも、本人に覚悟がないと出来ない事ですからね。
このシングル以降だと、実験的な作品が増えていった印象があります。
それでもカップリング曲の「escape」や「タイムオーバー」なんかの、ツボな曲もポツポツとありましたが。
ある意味この曲は、最後の輝きならぬ hitomiが魅せた最後の闇だと思います。
今でも定期的に新作もリリースされていますし、
音楽以外の活動の方が多いと思いますが、今後も新作期待しています。
ということで、今回はhitomi「flow」でした。
それでは次回もお楽しみに。
コメント
産休明けの安室と小室プロデュースを離れたhitomiのセールス対決を追うと面白いですよ
(シングル・アルバム共にその年の最高順位のみ抜き出しています)
・1999年・・・安室:アルバム未発売、シングルI HAVE NEVER SEEN年間29位、
hitomi:アルバムh年間49位、シングル年間100位圏外
・2000年・・・安室:アルバムGENIUS 2000年間28位、シングルNEVER END年間32位
hitomi:アルバム未発売、シングルLOVE2000が年間78位
・2001年・・・安室:アルバム年間50位圏外、シングル年間100位圏外(最高売上はSay the wordの18万枚)
hitomi:アルバムLOVE LIFEが年間30位、シングル年間100位圏外(最高売上はIS IT YOU?の19万枚)
・2002年・・・安室:アルバム年間50位圏外、シングル年間100位圏外
hitomi:アルバムSELF PORTRAITが年間21位、シングルSAMURAI DRIVEが年間85位
2001年に初めてhitomiが安室をシングルでもアルバムでも上回り
2002年にはシングル・アルバム年間ランキング圏外の安室と違って両方にランクインし
アーティストトータルセールスでも圏外の安室に対して11位にランクインしたhitomiは
ある意味小室プロデュースへの意趣返しができてそれで満足してしまったのかなと思いました
安室は2002年には既に小室プロデュースを離れていましたがhitomiにとってはずっと小室プロデュースの象徴的存在でありライバルだったかもしれません
翌年の長期休養は目的を果たして燃え尽きてしまったのかもしれませんね
邪推なのは重々承知しています笑
安室、hitomiのセールスまとめて頂きありがとうございます。リアルタイムでも二人のファンでセールス動向もチェックしていましたが、今こうして見ても興味深いですね。
個人的に、一番印象的なのが2000年末のAL対決(オリコン上では2001年)で安室『break the rules』にhitomi『LOVE LIFE』がまさかのダブルスコア以上の差をつけて圧勝した事ですね。
ファンの間でも「えっ・・・ザワザワ」感みたいな、地味に来るものがありました。
※余談ですが華原が電波少年の企画を終えて、01年春に帰って来た時hitomiの新曲プロモと歌番組で一緒になる機会がありましたが、”hitomi(色んな意味で)めっちゃデカくなってるんだけど、何これ??”みたいな動揺が伝わってきました。
「LOVE2000」での話題もありましたが、安室にしても「NEVER END」などの話題性もあった頃で、当時のオリコン予想等ではALは両者同じくらいか、安室が若干上位の予想が多かったような。
高橋尚子の追い風を受ける中でのセミヌードジャケも、インパクトあったと思います。着飾らないナチュラル、ワイルド感、
あれは前年度の浜崎『LOVEppears』のエクステでガッチリガードなジャケを、一気に古ぼけさせる位の破壊力があったと思います。(その辺りのバランスは『I am』でのジャケで取り返した感も)
avexで小室ファミリー、セールス動向を見るとスタッフサイドは意識してそうですが、本人達は当時も今もライバル感は不思議と感じないのはなぜなんだろう。
アスリートとモデル?東洋と西洋?感というか、根本的なジャンルが違うイメージです。
この二人も面白いですね。