浜崎あゆみ「Daybreak」レビュー こんな時代も、いつかのあの日の空の下

シャッフルレビュー第46弾。今回はこの曲。(今回も長文です)追記有り

 浜崎あゆみ「Daybreak」

2002年1月1日発売、4thアルバム『I am』収録曲。

・作詞 ayumi hamasaki ・作曲 CREA , D・A・I, 松田純一 ・編曲 tasuku

Panasonic CMソング。

夢や希望を見失いそうな渾然とした時代の中、「夢見た場所へ旅している同志だってことを忘れないで」と呼びかける。

シンプルなバンドサウンドながらも、開放感のあるサウンドのロックバラード。

同年、3月にはオリエンタルバラードに変貌を遂げた”HΛL’s Mix 2002“のRemixでシングルカットされた。

1カットで撮影のPV

シングルVerのPVがこちら。

浜崎あゆみ / Daybreak (ayu

屋外ロケで撮影されたPVで、タイトルの様に夜更け~朝焼け?をイメージさせますね。彼女のSgのPVで全編1カットでの作品は、後にも先にもこれだけの気がします(漏れてたらすみません)。※追記「Curtain Call」(2009)がありましたね!AL曲ですが。他にもAL曲は割とある気がしてきました。A面では「Pride」も2番サビまでワンカットか

当然、衣装も1パターンですし、派手なCG・エフェクト・演出があるわけでもありません(後半に少し光が射すくらい?)。地味なんですけど、個人的には結構好きなPVです。当時、一部リスナーから「精○病棟から抜け出した患者が包帯巻いて歌ってる」なんて、言われていた白い衣装やちょい病みメイクも良いと思います。

何より他の曲と比べて、予算が掛かってないハズなのに安っぽくないのが素晴らしい。(その分綿密な打ち合わせや手間が掛けられていたと思いますが)

CMでの印象が

PanasonicのCMで聞いた時は、解りやすいメロディーに青臭さと凛々しい歌詞と歌唱で強烈でした。

わりと近い世界観の「Boys & Girls」の場合は、歌詞とは真逆なPOPで明るいアレンジでワンクッションあったので、聴きやすかったですが、この曲は歌詞と共にメロディーも、正義!勇気!希望!!の様なサウンドだったのちょっと力みすぎて、「・・・お、おう」とちょい引く印象でした。

これは、当時タイアップのPanasonicの本人出演CM(Daybreakだけでも年末~年明け?に流れていたAL音源Verと、Sg発売時期のSg音源Verとある)

そのうちのオリジナルVer(AL)のCMの衣装が全身黒で、頭はケミストリーの川畑氏ばりの黒いバンダナを巻いて、ワイルドメンズ系ビジュアルだったのも影響しているかもしれません。

詩・曲・ビジュアル(これはCMだが)全て力が入った正義感のような。まあ早く言えば、CMで聴いた印象としては非常に苦手だと思ったということです。

CDで聴いてみたら

この曲が収録されている「I am」を、リリースから1週間後位に買いましたが、CDで聞いたときに、この曲の連弾イントロ(アウトロ)を聴いて、一気に好印象になったのを覚えています。

分かりやすいメロディーだけどブワーっと広がっていく開放感と、それぞれの物語がそこから散らばりつつも歩き出していく感じが、切なくも凛々しい。

たしかに詩は「どんなに遠く離れていても 僕らは同じ空の下で~」と青臭い。ある意味、学校の合唱曲(卒業曲)としてもマッチしそうな歌詞の世界観です。しかしそれを包む、突き抜けたロックサウンドとの融合で、格好良いRockバラードになっていたので驚きました。一瞬にしてCMからの印象が吹き飛びましたね。

あと曲のバンドサウンドが、大学っぽいというかサークル、キャンパス感を感じて青春な雰囲気もあってそこも好きです。

改めてオリジナルVer聞くと、Aメロはほぼアカペラ状態で、Bメロからベースとシンセも少し加わりますが、こんなにシンプルだったっけ?と驚きました。

「同志だってことを 忘れないで」とクロスして入るアウトロも、本当に気持ち良い。(合いの手のように入る鐘の音?ぽい音も重要)当時から大好きな部分ですが、15年以上経って今聴いても大好きですね。バンドサウンドとしては、決して珍しくないメロディのハズなのに、この曲でしか味わえない爽快感があります。

後に、H∧LのRemixをメイン扱いでシングルカットとされましたが、そのサウンドの世界観も好きです。シングル向けではないかもしれませんが、かと言ってマニアック過ぎるわけでもなく、曲のまた一つの魅力が引き出された非常に良いRemixだと思います。

この曲は2002年の1年を通してもTOP3に入るくらい好きな曲で、こんなに世界感が違うのに、アルバム・シングルどちらのVerも同じくらい好きです。

hitomi+Namie+Ayu なジャケ

このSg盤のジャケットは、アムロヘアーにピースマーク、ちょいフレンチウェスタンでブルーカラーをベースにしたジャケットも、小洒落感もあり個人的にはかなり好きでした。

青空と夕暮れのグラデーションの綺麗な背景でこれも好きでした。彼女のSgジャケットの中ではTOP3位に好きです。当時アナログ盤も買いました。

ん!?ここで、ある面白い発見をしました。

同じ2002年1月のhitomi「SAMURAI DRIVE」での、まさかのあゆ風ジャケ。下旬にAL発売。

さらに翌月2月リリースの安室奈美恵「I WILL」での、ボディースパンコールでまさかのKanariyAyuジャケ。この曲のPV内でも全身スパンコールや、hitomi 『huma-rhythm』のジャケットで、hitomiが被っていたインディアン風のタテガミ?(同じ物の可能性有り)を安室が着用し歌唱するシーンも。

翌3月の3部作?ラストが浜崎あゆみ「Daybreak」での前述通りの安室ヘアー初解禁(のはず。ちょいリーゼント風なヤツです)。これ以降は、本人も気に入ったのか、度々このヘアスタイルを見かけましたね。

SAMURAI DRIVEhuma-rhythmI willDaybreak

全てavexアーテイストですし、綺麗に3ヶ月連続。こうして見てみるとなんか狙っていたようにすら思えてくる不思議さ。それぞれ個々には○○っぽいなーとは当時から思っていましたが、この3作の微妙な関連性については、15年経って初めて気がつきました。

特にhitomiも安室チームも、普段はここまであからさまに他者に寄せ感を出すのは滅多に無く珍しいので余計に勘ぐってしまう。(浜崎批判ではありません)この同時期song nationというavexアーティスト(上記3名も参加)のチャリティプロジェクトのリリースもあったので、アーティスト間の壁を崩して見せたのか。

単に各スタイリストやチームスタッフが同じだったのかもしれないし、深い意図は無いと思いますが。こうした面白い発見が出来ただけでも、今回のレビューを書けて良かったです。^^

さて、「Daybreak」のジャケットの話に戻ります。

後に上原多香子(同じavex系列)のSg「air」(2002)のPVに、同じ物と思われる空の背景のセットが使用されており、あの空は本物の空では無くてセットだったのかーと少しショックだった記憶が。

まあ、今改めてジャケを見ると明らかにスタジオセットの空と分かるのですが、当時は海外かどこかの空だと思っていました。

Daybreakという言葉

このタイトルのdaybreakという単語。日の出/夜明け という意味なのですが、

自分はこの曲で初めて知り、「かっこいい英語だな」と言うのが第一印象でした。まずその響きもクールですし。口に出したい感じですよね。

ハヴァブレイク(キットカット)、ギミアブレイク(関口宏かっ)、コーンフレーク(!)と、日本が誇る3代ブレイクと並べてみても引けを取らない(おい)。

やっぱデイブレイクかっけーなと。

また、ニュアンス人間の自分は、day(日)break(壊す)で、”日々の破壊”か~あゆ、かっけーと思いながらずっと曲を聴いていて、ますます好きになりましたね。

多分シングル盤発売しばらくして、意味を知り「ああ、あのPVってそういうことか」後から納得しましたが。同時に、日々のブレイクでも、間違いではないなと思っています。

「こんな時代」「顔を無くしたまま」「すがりつき生きてた」そんな日々を壊して、僕らは越えていこうというニュアンスも間違いではないと思うので。

言葉や単語の持つパワーは、それがたとえ多少の勘違いや、本来の意図と外れていても、悪い(ネガティブな)方向でなく、それが各々にさらなるプラスのパワーを持つのであればそれはそれで有りですよね。

それぞれの解釈や、想像(空想・妄想)で広がる魅力の可能性が無限に有るはず。

・余談ですが。サビの

「どうシ・ダ・ァて ことヲ・ワ・スれ (得ないで)」「ひト・ガ・イ・ル ことヲ・オ・モい (見出して) 」

この太字(カナ)の部分のリズムの高低?が好きです。()の部分は脳内で毎回付け足す歌詞です。このニュアンス、きっと解ってくれる人が居るはず??

時間も距離も超えた 同じ空

今回の記事制作にあたり、改めてジャケットやPVのビジュアルイメージと、歌詞を見返して思ったことがあります。

旅人っぽいというか民族というか、インディアンなど先住民たちの情景が浮かんで来るのです。

ーかつては、アダムとイブの同じ(ひとつの)血を分けて生まれ育っていった人類の祖先たち。現代に渡るまで、人間の知恵や創造による進化、生活や文化の多様化、数多くの家族(子孫/人種)が生まれては、1つの地球上に散らばるようにして分かれて来た。

だけども、僕らはかつてあの空の下で共に生きていた。月日は何度も流れたし、それぞれに抱える、環境や困難は違うけど、それでも僕らはあの頃と変わらない同じ空の下で、旅している同志なんだと。

今までは、この歌詞の通り、”遠く離れた君と私、でも上に広がっているのは同じ空だよ”と距離のことばかり着目していたけれど。そうした“時代や血筋、歴史的背景をも超越しての、同じ空”だとしたら。

日々天気も違えば、同じ雲の形は無いし、時代によりオゾン層の厚さも空の色の見え方も違うだろう。でもそれは、あくまで空を彩っている周りのバランスの変化であって、空 自体は1つなんだと気がつきました。

イタリアの空もアマゾンの空も、この地球上にいる生物たちは人間だって、鳥や動物だって皆同じ空を共有している。だったら昨日の空と、明日の空だって厳密には同じはずで。極端に言えば100年前の空と50年後の空も、同じことが言えるのではないかと。どちらかの空が正解で どちらか偽物って訳でもない。

つまりは、場所や距離を越えた存在である空は、同時に過去や未来、時間の枠さえ越えている存在だと言えるのではないかと。

そう考えられたら、すごいかもしれない。卑弥呼や小野妹子、坂本龍馬や織田信長、アインシュタイン、ヒトラー、ジョンもマリリンもマイケルも、未来の子供たちも あなたの先祖も皆見上げて、またその姿を見守られていた同じ空の下で今生きている我々。

地理的な距離だけじゃなくて、時代という距離も越えて遠くはなればなれに思える人達とも、実は同じ空の下で繋がっているんだよという。

そこまで、彼女が考えて作詞したのかは不明ですが、そう思ったらこの曲の世界もより深く好きになりました。

オススメRemix

この曲は、そもそもシングル曲としては一番Remixの種類が少ないと思います。現在までトータルでも2桁も無いハズ。そんな面でもちと不遇な曲ではあります.

という事で、やや消去法的なオススメにはなりますが、一番聞くRemixは『Ayumix7 presents Ayu-romix 4』(2011)収録の「Daybreak(Plum mix)」ですね。かなりアップテンポでユーロ感は十分。しかし、音も速度も激しいバックトラックに対して、ボーカルのBPMはオリジナルのままなので、慣れるまでは違和感を感じる人も多いと思います。

正直開放感や心地よさは求めてはいけません。この曲が好き、でも原曲への思いはとりあえず置いて、いつもと違う雰囲気で聴きたい/ノリノリになりたい人はチェックしてみて下さい。

不遇の30万枚限定のラストシングル

まあ結果としては、このシングルのセールスの伸び悩みもあり、今作で30万枚限定生産のシングルシリーズは終了となりました。

当時色々と歌番組も見ていましたが、ランキング以外でのこの曲での歌番組出演プロモーションも全く印象がないですし(まあシングルVerはTV披露向きではないが)、シングルとしては「Kanariya」(1999)の次に不遇な扱いの曲だと思います。

発売から1ヶ月後には早くも「Free & Easy」(2002)「浜崎共和国」なる本のリリースなども控えていましたし、時の狭間に置いて行かれた曲のように思います。

ライブではリリース当時のツアーやCDLで披露はされていたようですが、自分の認識ではそれ以降、現在に至るまで十数年も再披露されていないのはただの偶然なのか?、かと言って何か確執があるとも思えません。「M」(2000)から続いた連続1位が途切れたのも、それまでの30万枚限定シリーズも「Kanariya」以外は1位は逃していますし、それで黒歴史にされているとも思えない。

去年のCDLで初披露された「Kanariya」はそれまで意識して歌唱されてこなかった部分があったと思いますが、この曲の場合は・・・

多分ですが・・・単に忘れられているんじゃないかなと思います。^^;

まあちょっと残念な扱いの方が、リスナー的にはより愛着が増しますから、とポジティブに考えてみます。

おまけ

30万枚完全限定生産CDの歴史 ~序~

このシングルは、彼女の恒例となった30万枚完全限定生産CDのシリーズとしてはラスト作になりました。

ここの話題を書いていたら、曲のレビュー以上に長文になってしまった。

思えば、以前「Boys & Girls」のレビューも長くなり過ぎて前編後編とに分けましたが、

今回は、曲は曲でレビュー記事、30万枚限定CDの事は別記事でコラムとして分けることにしました。その後日更新予定の30万枚~の方の記事のさわりを。

「appears」(1999)  2ndアルバム「LOVEppears」と同時発売。ALと合わせて白あゆ黒あゆジャケットでも話題に。当時、発売後まもなくプレミア化。

「Kanariya」(1999)  2ndALからのリカット。非売れ線リミックスがメインだったものの、勢いで1位、前作程ではないものの、同じく当時プレミア化、

「Fly High」(2000)  2ndALからのリカット。売れ線曲で、年末年始も挟み一般層への認知度もかなり浸透した時期、しかしさすがに実質3枚目のシングルカットで食傷気味、レアまで行かないもののほぼ完売状態。

「SURREAL」(2000)  3rdAL『Duty』と同時発売。”初回限定生産”のCDとしての発売。ゆっくりとではあるが、店頭からはほぼ姿を消す。

「AUDIENCE」(2000)  3rdALからのリカット。彼女にしては珍しい明るいアイドルPOP。データ上では、このシングルまでの30万枚限定盤はほぼ完売。

「Daybreak」(2002)  4thAL『I am』からのリカット。累計でも20万枚を僅かに下回る。30万枚限定盤のラスト作品となる。

続きは、後日更新予定のコラムにて。

なぜ、30万枚限定生産CDのブランドが崩壊してしまったのか?「AUDIENCE」の不可思議なセールス、「Daybreak」で突然数字が下がった要因などもっと詳しく踏み込んで色々と書きました。

※リンク追加

浜崎あゆみ30万枚限定ブランド戦略-コラム1章appears「時代を読むセンス」

長文お読み頂きありがとうございます。

という事で、今回は浜崎あゆみ「Daybreak」楽曲レビューでした。

次回もお楽しみに。

コメント

  1. 匿名 より:

    hitomi・安室・浜崎のリンクについては気付きませんでした
    I WILLの全身スパンコールはさすがにkanariyaじゃんとはわかったんですが
    hitomiも含めてそんなにいろいろイメージが共通していたとは
    今思うとSAMURAI DRIVEのサングラスは確かにあゆまんまだし
    I WILLで意味なく出てきたインディアン風被り物はhuma-rhythmまんまですね
    Daybreakは同時期発売された宇多田ヒカルの「光」のPVともワンカットという共通点がありますね 
    あちらは固定カメラでただ皿洗ってるだけですから印象は大分違いますが

    • tona より:

      コメントありがとうございます。自分だけじゃなかった、やっぱりそうですよね。当時、個々には思っていましたが、こうしてこの時期に集中して仕掛けられていたのは、やはり意図的でしょうね。
      15年ほど前の事ですが、自分もこの記事を書いた時に初めて気がついたので、”振り返ることで、思い出が増える”事が実感できて良かったですし、改めて今後も過去作品のレビューも続けたいと思えました。

      >Daybreakは同時期発売された宇多田ヒカルの「光」のPVともワンカットという共通点がありますね 

      「光」も同時期でしたか懐かしいですね。ワンカットは今では(当時も?)それほど珍しい物でも無くなりましたが、ストーリー仕立ての物だと見ていて上手く進むかハラハラしますが。その点「光」の様なラフなワンカットの使い方も、一つの効果的な使い方なのかもしれませんね。^^

  2. 匿名 より:

    ご返信ありがとうございます
    当時の安室・浜崎・hitomiのリンクはただのお遊びだったのかもしれませんが
    同一レコード会社所属のアーティスト間のイメージを共通させることでビーイングみたいにレコード会社単位でのファン層を作りたいと思っていたんじゃないかとふと思いました
    エイベックスアーティスト総出演のライブイベントa-nationもこの年に始まっています
    「エイベックスなら何でも買う」というブランド買いを消費者にしてもらいたい狙いがあったのかも?
    この年導入のコピーコントロールCDと並んでCD売上減少対策の一環だったのかもしれませんね
    結局ビーイングほどプロデューサーの権限が強固でなかったせいかアーティスト間のイメージの共通は多分これきりで終わってしまいましたが

    • tona より:

      a-nation開始もこの年だったんですね。仰るように、この年avexはsong nationと共に、箱アピールを意識した年だったのかもしれません。ビーイングとの比較も面白いですね^^