BoA『私このままでいいのかな』ALレビュー 行先を誰か教えて 本音のKiss my lips

シャッフルレビュー特別篇、AL編。

2018年に発売されたアルバム作品の中から、筆者が選ぶ1位の作品はこちら

BoA『私このままでいいのかな』

2018年2月14日発売、国内では3年半振りのAL

私このままでいいのかな』。

まず、聞いた事ない人にピッタリなダイジェストがあるので聞いてみてください。

BoA / 2.14 release「私このままでいいのかな」全曲ダイジェスト (avex)

改めてこうして聴いても、良盤だなという印象。

活動初期~中期にも通じるようなJPOPライクな世界観です。

個人的には1・2・11・12曲目をプレイリストに入れてましたが、

1枚を通しても聞き易い作品だと思います。

ピンポイントに触れると1曲目「Where am I now」の様な爽やかで軽やかな曲で始まるのも新鮮だし、色んなシーンでリピートしやすい曲だと思います。

B.I.O」(2003)をミディアムにした様な2曲目の「ありがとうサヨナラ」の打ち込みサウンドも格好良い。

もちろん大人っぽい曲や、ALの先行Sg的な「Jazzclub」の様に、

今の彼女らしさが溢れた攻めた曲もあります。

日本でのALプロモでは、主にこの曲を披露していた印象があります。

BoA ボア ‘Jazzclub’ MV  (SMTOWN)

正直全米デビュー後位から、彼女の作品はAL毎でしかチェック出来てないですが、

彼女のやりたい世界観を追求しつつも、一周回って聞き易いPOP感に戻って来たかなという印象です。

キャリアゆえの孤独「私このままでいいのかな」

ALラストに収録されているタイトルナンバーの「私このままでいいのかな」も

派手ではないけれど10年前だったら、普通にSgで出てたかもという王道なバラード曲です。

BoA ボア ‘私このままでいいのかな’ MV (SMTOWN)

印象的なBメロの

気づいたら周りはもう 私を叱ってくれない

何が いけない 教えて ねえ お願い」のフレーズ

曲的には、あくまでも彼との心のすれ違いとして描かれていますが

彼女の今(今後)の自分の活動に対しての不安として置き換えても成立しますね。

若くして国内外の業界で活躍してきた彼女。

様々な場面で、キャリア的にもスキルでも他のスタッフより上の立場になる事が増えていると思います。

そうした立場で、気を使っての(礼儀ありきの)やりとりばかりで

心からの本音やアドバイスをぶつけてくれたり、

しがらみ無しで、手を取り合って感情を共有したりする機会が減っているかもしれない。

それは自身が成長しスキルアップした証拠でもあり、喜ばしいことでもある一方で

車の運転で例えれば、これまではナビが「次の角は左に」「何キロ進んだら何がある」と指示してくれていたのが、

「どこに行こうが、あなたの自由です。好きな道/ルートで好きな場所へどうぞ」と

こちら側に全てお任せとなると、時に自由であるが故の不自由(不便)さを痛感することもあると思います。

確かに煩わしさは無くなるかもしれないが、指示を煽ってくれる人がいた方が、

その方向に向かって自分の事に専念出来ることもあるし、

人間はどんなスキルアップした人でも、時に判断のミス等が出てくるのも仕方ないと思いますが

明らかに遠回りや不効率なルートに行こうとしても、

周囲も悪意ではなく本人に何か考え(意図)があるのだろうと、注意されない/教えてもらえなかったり。

そんな事に、彼女自身寂しさや不安を感じてしまうことも、あるのかな?と思います。

上の立場になればなるほど、周りからの指摘もそうですし

自分自身、素直に「これは間違えている」と認めるのは勇気もいる事だと思います。

逆に言えば、そうした立場の人こそが客観性を持って柔軟に、間違えた場合は素直に訂正したり軌道修正したり出来れば、理想的なプロジェクトに近付けると思います。

という事で、この曲の歌詞を表向きの恋模様だけでなく

こうした「彼女の(キャリア)立場だからこそ感じる心の声」だと思って聴くと、何とも切ないですね。

個人的にこうした王道のバラード曲は、あまりリピートする事は少ないのですが、

自分がこの曲を好きになったのは、サビの

「あなたのナンバー ダメだ押せない」のダメだ 押せない あぁーのフレーズ

張り詰めた高音が続くサビの中で、このフレーズだけちょっとため息をついてボヤく感じが、

普段は強がているけど、つい出てしまった心の声(本音)」的な感じが最高に良いです。

続いては、個人的にこのALで一番好きな曲の紹介です。

痺れサウンド「Kiss My Lips」

この「Kiss My Lips」の世界観が良い。

はじめてのチュウ」、ハロオタの方には後藤真希「22世紀」の様なレトロ調シンセ音にもシビれます。

今回、この曲を調べたら立派なPVも韓国版も発見。

韓国で2015年にリリースされた全曲本人作詞・作曲・プロデュースの

AL『Kiss My Lips』のタイトル曲だった様です。

韓国語(オリジナルVer)の方はフル尺なのですが、せっかくなので日本語でのパフォーマンスの方を紹介。

BoA /「Kiss My Lips」(日本語Ver.)MUSIC VIDEOショートVer. (avex)

大きな羽も、お洒落なレトロ感が出てて曲に合ってる。

モーニング娘。Help me」(2013)のダンスを優雅にした感じ。サビではフラミンゴも取り入れてるのかな?

リップシンクに関わるシーンは使い回しせず2パターン撮影されている様ですね。

同日に収録したのか、基本的な構成や衣装等も一緒ですね。

2015年に韓国で発売されたAL『Kiss my lips』のタイトル曲だった様です。

やはりAL単位(かつ国内盤)でしか追っていないと、こうした事が度々起こるのですね。

これまで、AL曲の隠れた良曲という認識でいたので、嬉しくもありつつ

I SEE MEE」の時に似たカルチャーショックを受けました。

参考記事 BoA「I SEE ME」レビュー 遠い風景に感じる この苦味が 君の道しるべ

彼女は20年近く活動していると思うのですが、その間細かなスキルやテクの部分での変化はあったと思いますが

高音も多用される女性アーティストにおいて

デビュー当初と歌声の出し方がほぼ変わらずキープ出来ているのは、非常に珍しいと思うし凄いなと思いました。

昔から綺麗なミックスボイスを使いこなしていましたし、喉に負担を掛けないように影でも徹底しているのかもしれませんね。

韓国では、AL発売時に積極的にTV番組でもプロモが行われていたようで

その歌番組でのパフォーマンスも紹介します。

BoA 보아 Comeback Stage ‘Kiss My Lips’ KBS MUSIC BANK 2015.05.15 (SMTOWN)

TV番組においても安心して見れるパフォーマンスの安定感、素晴らしいですね。

大人の色気もあって色っぽく、松たか子的なビジュアルも綺麗で、

さながら”踊るパン祭り“という感じですね(好意的な表現です^^;)。

韓国での現在の人気は知りませんが、このビジュアルと、作品のクオリティならば日本で

安室の後継的ポジションでも十分やっていけそうな気もするが、

現在のJPOPシーンでは、歌って踊るソロアーティスト自体が不遇ののターンなのかもしれませんね。

今の日本だとTWICEの様に(年齢だけじゃなく)グループの方が売り出しやすいというのもあるでしょうね。

ただ、国内では長く続いた大人数アイドルの時代もあと数年でひと段落しそうな気配を見せていますし、そういう意味ではソロ組は踏ん張りどころなのか?

てな訳であと数年このレベルの活動をキープしていたら、日本でも再評価されるかもしれませんね。

仕事優先か(相手やタイミングもある事だが)家庭を築くかなど

そうした面でも「私このままでいいのかな」と悩む時期なのかもしれないですね。

勿論、一生をショービジネスでやり遂げるというのも凄い事だし

韓国での社会状況はよく知りませんが、

一旦休養して、家庭と仕事を両立というのもひとつの形。

そうした解釈で「私このままでいいのかな」という、

切り取ったフレーズに、彼女を応援するいちリスナーとして答えるとすれば、

少なくとも、間違った道を進んでいるとは思えないので

そこに多少の不安や後悔が待っていたとしても、

今後も彼女自身の信じた通りに進んで欲しいなと思います。

という事で、今回は2018年のAL作品1位に選んだ

BoA『私このままでいいのかな』アルバムレビューでした。

次回は特別編のまとめ記事の予定です。

お楽しみに。