遂に梅雨明け、夏本番ですね。
シャッフルレビュー第70弾。今回選ばれたのはこの曲。
矢野顕子「ひとつだけ」
作詞作曲 矢野顕子
1980年10月1日発売のAL『ごはんができたよ』収録曲。
前年にアグネス・チャンに提供した楽曲の、セルフカバー。
離れてる時、悲しい時でも私のことを思い出してというシンプルかつ普遍的なメッセージで
人間の本当の喜びや幸せも垣間見える楽曲(☆4)
この曲は、聴くと心が笑顔になれる曲で、年齢・性別・国籍なども超えたパワーに溢れた楽曲だと思います。
多幸感という言葉がありますが、この曲から溢れているのが、まさにそれですね。
2017年のベストソングの記事で2位に選んだ時にも触れましたが、この曲を聴くとサビで「アタッ〇」(某洗剤)のCMが浮かんでくるのが謎です。調べても、過去にCMで使用されていた訳では無さそうなんですが「繊維の奥の1本1本まで、驚きの白さに!」と、ナレーションまで同時に脳内で再生される謎 (^^;
また、今回の記事作成にあたり初めて知りましたが、元々はアグネス・チャンへの提供曲だったという事実。
そう言われてみれば、この曲に広がる大人から子供まで通じる年齢フリーな世界観。
またアジア系輸入タレント(アイドル)が、少しタドタドしい日本語で、
健気に懸命に歌う姿には、どこか暖かい親目線になるし
実際にその年齢よりも幼く、可愛らしく見えるという部分もありますよね。
そういう意味でもこの曲の、Aメロに出てくるアイドルチックな可愛らしいフレーズや
子供のような純で真っ直ぐな歌詞や曲調も、なんだかとても腑に落ちました。
もっと後年だと、ブラックビスケッツでデビュー前(96年)位のビビアン・スーがカバーしてもハマっていたかもしれませんね。
自分がそうだった様に、多くの人はこの曲は矢野さんの曲という認識の方がほとんどだと思いますし、実際歌い繋いでいるのは矢野さんなので、オリジナルと言っても間違いでは無いと思いますが。(本人は”もはや清志郎さんの曲”とコメントしているのも見かけましたが)
こうした色んなめぐり合わせがあっての、楽曲なんだなと言う事に気づかされました。
様々なカバー
今改めて調べたら、矢野顕子さんのソロ版、忌野清志郎さんとのコラボ版
そしてBank Bandによるカバーの3Verをプレイリストに入れていました。
どのVerもそれぞれの良さがありますし、やはり矢野さんのオリジナルには超えることのできない一線もあります。(本人のベスト盤等にも新Ver等で複数収録されていますが特に表記が無いため注意、個人的には「ごはんができたよ」に収録のオリジナルが好きです)
そして、聞く時の心理状態によって振れ幅の大きい、破壊力もある清志郎さんとのコラボ版も好きですが
矢野さんファンには邪道と言われてしまうかもしれませんが
個人的にはこの曲との出会うきっかけとなったBank Bandの「ひとつだけ」がやはり特にお気に入りです。
爽やかなブラスアレンジが、また光の世界観を増幅させています。
歌声だけで聴いていても、桜井さんの笑顔が浮かんできます。
Bank Bandのアルバムではこの曲も入っている第2弾が一番好きです。
他にも矢野さんの娘である、坂本美雨さんによるカバーや清水ミチコさんとのモノマネコラボ、篠原ともえと能年玲奈のデュエット等も動画で拝見し興味深かったです。
映画『しあわせのパン』
忌野清志郎さんとのコラボ版が、後に原田知世、大泉洋主演の『しあわせのぱん』主題歌になりました。
作品は観ましたが、原田知世は無難で、大泉洋の優しい雰囲気がクローズアップされてると感じました。
ただ、全編で溢れる『かもめ食堂』感、良い話風のエピソード盛り合わせ感と、この曲が主題歌(しかも忌野さんとのVer)というのが、どうにもあざとさを感じてしまっていたのですが
もともと監督の三島有紀子さんがこの曲を聴いて脚本を書いた作品だということを今回知りました。それを知ってから見ていたら印象が違ったかもしれません。
矢野顕子 × 忌野清志郎
清志郎さんとのコラボは、生きとし生けるものの本質というか、
またこの曲の別の魅力が出てるのかなと思います。
2人は一見、音楽の方向性やジャンルも全然違う印象であるのに
楽曲を通じて生み出されるパワー、音楽はボーダーレスという事を思い知らされるコラボだなと思います。
感慨深いものがありますね。現在、清志郎さんの肉体は現世にはありませんが、そうした事すらも飛び越えるだけの力を感じます。
あなたの想い ひとつだけ で 繋がりあえる
遠距離で暮らす大切な人たちの繋がりや、
ずっと遠い世界へ旅立ってしまった人達。
色々な形態での、大事な人たちへのテーマソングにも受け取れます。
今は遠い世界にいる、大切なあなた。
「離れている時でも わたし/ぼく のこと
忘れないでいてほしいの ねぇおねがい
悲しい気分の時も わたし/ぼく のこと
すぐに呼びだしてほしいの ねぇおねがい」
清志郎さんの肉体が現世から旅立った今だからこそ
より、このメッセージが響いてくる気がしますね。
我々が、彼をはじめ亡くなった方の事を思い出す時、その残したものに触れた時に
何度でもその魂は蘇る事が出来るし、場所や時間も超えたボーダーレスの世界でパワーを伝え続けてくれる。
旅立った人が残された人達に”忘れないで/思い出して欲しい”という意味にも
残された人達が旅立つ人に対してのメッセージにも、両方の意味にも受け取れますね。
そして、この歌詞のように物質的なものを超えた、魂の繋がりを得られることが、
人間にとって本当に嬉しいことなのかもしれませんね。
どんなに遠く離れていても、あなたの心のスイッチひとつで、呼びかけてくれれば、
わたし(ぼく)はいつでも、繋がりあえるんだよと。
「ひとつだけ」イメージイラスト
この曲をイメージして、ジャケットを描きました。
こちらです。
曲としては個人的にはBank Band版の印象が強いのですが
自然と矢野さん版のジャケになってました。リーゼントは清志郎さんイメージです。
エフェクトの感じから和風な感じになりましたが
優しく柔らかいイメージで描きました。
と言う事で、今回は矢野顕子「ひとつだけ」楽曲レビューでした。
最近は月初めに曲を選んで月末にアップという感じで、ほぼ1ヶ月毎の更新となっていて、
そろそろシャッフルレビュー以外の記事も上げたいところ…。
まだまだ、暑い日が続きますが体調に気をつけて、ファイトりましょう!
次回もお楽しみに。