globe『Perfume of love』レビュー 焼け付く想いと 凍てつくサウンドが その場を支配する。

マニアックな音楽レビューの第23弾。
 
今回選んだのはこの曲です。
 

globe 「Perfume of love」

作詞 TK&MARK 作曲・編曲 小室哲哉
1998年10月7日発売 日本テレビ系ドラマ「P.A. プライベート・アクトレス」主題歌
 
globe / Perfume of love  (avex )
 
この、イントロがかかった時点で既に場を支配している雰囲気(ラスボス感?)が堪らないです。何というか焼け付く冷気や、凍てつく熱気感があります。
 
ある種の強迫観念にも似た緊張感が曲全体に漂っていつつも、サビはメロディアスなので、全体的に閉塞的になり過ぎず、カッコ良いロックバラードになっています。
 
詩は、恋人との別れ、喪失感、孤独と希望、自己との葛藤などの心の叫びですね。
この曲は榎本加奈子主演のドラマ主題歌でもありつつも、いかにもなタイアップ的な匂いも、ほとんど感じないのも好印象です。
 
あとメロなのか、音圧か分かりませんが、良い意味でやけに洗脳力があるというか、聴く人達の心を支配するような統率力がある曲だと思います。1曲を通して良い具合に、POPとマニアックが両立しており、音楽ファンの方にも、この曲を好きな方は結構多いと思います。
 
また、本曲は、「wanna Be A Dreammaker」、「Sa Yo Na Ra」、「sweet heart」に続くシングル4枚連続リリースのトリを飾った曲でもあります。この曲の旬は、リリース時期でもありましたが、秋の終わり~冬(年末迄)だと思います。やはり寒い時期の方がグッときますね。
 
ちなみに2作目の「Sa Yo Na Ra」のPVは、スーパーが舞台なのですが、アジア系の人がぶら下がった生肉を刃物で切っているシーンが人種差別に当たるとかで、シングル発売の翌年位に封印されて以降、メディアで流れることも、ソフト化もありません。(連作になっているので本PVでもちょこっとだけその場面が見れますが
 
PVは、雰囲気的に監督は海外の方かな?4連作PVのテーマは「悪夢」で、この曲のサブテーマ”悪夢からの開放”らしく、4部作ラストに相応しいPVの演出も良いです。
 
涙メイクで、スーパーの一角で歌っていて、視点が少しズレたらお笑いコントにもなりそうなところを、有無を言わせない圧倒的な曲の世界感と映像の質感で見事にアーティステックな作品になっています。
 
上記の「Sa Yo Na Ra」の問題(落ち度)があったにせよ、この色合いや映像の質感からして、ほぼアジア系の監督だと思うのですが、どうなのでしょうか。DVDのクレジット見れば載ってるかな?
 

4連続シングルとTK・華原朋美のエンドロール

この4部作はTKと華原との別れのメッセージにも読み取れる部分も大いにあると思います。
 
もちろん、本当のところは当人たちにしか分かりませんが、アーティスト目線でTK氏が華原朋美のシンデレラストーリーを描いてきたのが『LOVE BRACE』までだとすれば、そのおとぎ話のフィナーレ(ED)がこの4部作のような気がします。
 
ちなみに同時期にリリースされた華原本人のAL『nine cubes』から伝わって来るのは、”別れ”というよりも”終幕後の狂気”な感じですね。
 
“シンデレラストーリー”で言えば、24時過ぎて魔法は解けて、ガラスの靴は脱げたまま、王子はそのまま現われず他の娘と結婚、いじわるな姉妹にも虐げられる日々が続くバッドエンド。
悪夢のような日々に心身が荒み、半狂乱に陥るシンデレラをアルバムから感じられるかもしれません(※飛躍してます)。個人的には好きな作品でしたけどね。
 
 
先日、globeのトリビュートアルバムがリリースされました。
 
本曲は選曲されていませんが、もしされるとして誰のカバーを聞きたいか考えました。
元SPEEDのhiroがハマりそうな気がします。SPEEDの二人でもいいのかもしれませんが。一度想像したら、もうhiroしか考えられなくなってしまった。^^;どうでしょう?(何)
 
ということで、今回はglobe「Perfume of love」でした。次回もお楽しみに。
 
DEHA!!
 
 

コメント

  1. 匿名 より:

    >この4部作はTKと華原との別れのメッセージにも読み取れる部分も大いにあると思います。

    この発想には膝を打ちました。確かに同時期関係が悪化していた華原へのメッセージにも聞こえますね
    全部恋人との別れがテーマでこれとnine cubesで華原はもう修復不可能だと悟ったんでしょうね
    「気付かない新しい命が体中で始まってるかも」って大分不穏な歌詞なんですが華原の妊娠の可能性があったのかも?

    • tona より:

      コメントありがとうございます。TK本人は直接触れてませんが、暗黙で二人の別れのメッセージも含まれていると、当時多くのリスナーは感じていたと思います。
      (実際は97年には二人の関係(特にTKから華原への感情)は冷めていた様ですが、既にブランド化していましたしプライベートの事とはいえ影響力のあるビッグビジネス案件でしたから、公に出来たのが98年の末になったという事でしょうね。)

      この1998年はTKブランドのプライベート面と一般層へ通じるPOPさとがリンクして高揚した、最後の年だった気がします。こうした作品で(暗示しながら)プライベートを公表していくというのも、ある種残酷ですがアーティストっぽくてクールだなと思います。

      >「気付かない新しい命が体中で始まってるかも」
      単純に、自分でも気づかないうちに、新しい感情が生まれていた(心変わりしていた)というニュアンスで受け取っていましたが、匿名さんの言うように、そうですねそういった風にも読み取れるかもしれません。

      ただ、この場合どちらかというと当時TRUE KISS DESTINATIONで活動していたASAMIさんへ向けた言葉にも聞こえますね。また今となっては、密かに同時進行していたのかもしれないKeikoさんの事にも聞こえます。

      今聴いてもただならぬ情を込められた曲であるのは感じますし、改めて深い曲だなと思います。作品の解釈は人それぞれですので、こうした他の方の考察が聞けて嬉しいです。

  2. 匿名 より:

    ご返信ありがとうございます
    2017年の6月のテレ東音楽祭で元SPEEDの島袋寛子がマークとTKと共にFACEとPrecious Memoriesを歌いましたね 先見の明があって素晴らしいです
    KEIKOっぽさを漂わせつつもちゃんと本人の個性が出ていて素晴らしいコラボだと思いました

    FACES PLACESが顕著ですが歌手の内面ではなくクリエイターの内面を歌手に代弁させる曲の作り方は初音ミクの10年先を行っていましたね
    賛否両論のやり方だと思いますが(個人的には否)それが受け入れられていたのが凄い先読みの能力だと思います
    Perfume of loveは華原の想いを小室が歌詞にしてそれをKEIKOが歌うというねじれたプロデュース作品のように思えて唯一無二だと思います
    これとnine cubesはおそらく世界的にも類似の作品は二つとないでしょうね

    • tona より:

      コメントありがとうございます。
      >2017年の6月のテレ東音楽祭で元SPEEDの島袋寛子がマークとTKと共にFACEとPrecious Memoriesを歌いましたね 先見の明があって素晴らしいです

      ありがとうございますm_ _m そうなんですよね、このコラボ自分もリアルタイムで観ましたが、曲こそ違いましたし同じレコ会社でもともと有り得るコラボとはいえ、もしかしたら関係者の方がここ見て参考にして貰えたのかなと、(単なる妄想ですが)嬉しくなってしまいました。

      >FACES PLACESが顕著ですが歌手の内面ではなくクリエイターの内面を歌手に代弁させる曲の作り方は初音ミクの10年先を行っていましたね
      賛否両論のやり方だと思いますが(個人的には否)それが受け入れられていたのが凄い先読みの能力だと思います

      なるほどそうした観点から見ると初音ミクの先ですね、面白いですね。
      TK楽曲は「Hate tell a lie」辺りもストレートですけど、確かにTK
      (作り手)のメッセージが前面に出てる楽曲が多いですね。POPなアレンジやリズムでお洒落にデフォルメされてますが、詩の内容だけだとフォークや歌謡曲のようなちと風刺的だったり陰鬱な楽曲も多いですね。

      >これとnine cubesはおそらく世界的にも類似の作品は二つとないでしょうね

      当時から迷盤と言われていましたね。個人的には『kahala compilation』の後に遅れて『nine cubes』を買い、nine cubesの方が断然気に入ってリピートしてた変態です。^^;

      音楽作品単体だけだと、平凡な1枚かもしれませんが、あの2人や時代背景含めて聞くと並みの”本当に有ったグ〇ム童話”辺りを地で越えている協奏曲(ミュージカル)の様ですね。

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