シャッフルレビュー第52弾、今回は書きたい曲が多く迷いましたが、この曲を選びました。
CHAGE and ASKA 「no doubt」
1999年8月25日発売、初のセルフプロデュースによるAL『NO DOUBT』タイトル曲。(✩2.8)
別れた二人の情景を、回想するように綴ったバラード曲。
・作詞作曲 飛鳥涼 ・編曲 松本晃彦
[MV] no doubt / CHAGE and ASKA (CHAGE and ASKA Official Channel)
今回PV初めてちゃんと観ましたが、ミスチルの「es」のPV(サビしか見たことないが)っぽい?シチュ的にはSMAP「青いイナズマ」も?
少々POPに映るものの、個人的にこの緑茶系の色合いや、サビの分かりやすい遠近2shotは少し安っぽくても好きです。
心の情景をえぐられる様な、彼らの世界観はこの曲でも健在です。
Aメロから既にカフェイン混じりのノスタルジーさに痺れる。
Bメロ後の疾走、無音のタメから、サビの「僕らはー」で一回落とされるというか、「はっ」とさせられる感じがなんとも。
歌詞を読み返してみましたが、全て過去形なので”夏の肌が消えるように 別れた“僕らが、今どうしているのかは語られていないんですよね。ちなみにリリース当時この、この夏に別れた二人というのは、CHAGEさんとASKAさんの2人のすれ違いを、恋人同士に見立てて歌っているのかと思ってました。
だから、「あの夏僕らは別れて 別々の道を歩いたけど、またここで再会して 今は同じ道を歩いている」、という。
“あの頃一度別れた頃よりも、より強い結束で結ばれている2人の視点からの「別れた」”と受け取っていました。まあ深読みでしょうが、今でもそんな当時の認識のまま聞いてます。
自分のこの曲との出会いは、ALから3ヶ月後に発売されたベスト盤『CHAGE&ASKA VERY BEST ROLL OVER 20TH』でした。
このべスト版のラストに収録されていたこともあり、今までSg曲だと思ってました。
Wikiによると、当初は先行Sgの予定だったものの、制作に時間が掛かり、なんとAL制作の終盤に完成した様です。
この曲に限らず、彼らの楽曲は大人達はもちろん、若い世代の子等も、少し歳を重ねた時に、心に響く曲が沢山あるでしょうから、現在でもこうしてyoutubeのオフィシャルチャンネルで、多数の楽曲を公開しているのは素晴らしいと思います。(同世代の邦楽アーティストでもここまでフォローしているのは、珍しいと思います)
20年目の “no debut” 宣誓
この記事を書くまで、この曲(ALも)「no debut」”ノーデビュー”だと思ってました!(正しくは『no doubt』”ノーダウト”です)
ちょうど彼らの20周年のタイミングの作品だった様ですが、その当時は初のセルフプロデュース作品とまでは認知してませんでしたが、久々のALで新たなスタートの作品だという認識はありました。
再出発だからこそ、自ら皮肉って”ノーデビュー”という表明なんだなと、としっくり受け取ってしまっていたのです。(さすがにそれから19 年(!)も勘違いをしたままだったのは恐ろしいが^^;)
この「no deubt」の曲も、もちろん好きなんですが、何よりこのALが好きなんですよね。
ゆったりテンポの「swear」、小さくも勇ましく突き進む 行進ロック感が好きだし、おとぎ話を聞いている様な「僕がここに来る前に」では、少年の日が優しく柔らかく表現されていて心が洗練される。
焦燥感あふれる「higher ground」のスリリングな空気感も格好良い。
“道玄坂を登りきって~”の出だしも印象的な「two of us」は、懐かしい昭和の街の情景が浮かぶ風情ある楽曲で好きですね。
どこか中島みゆき調で、昭和歌謡ぽい「群れ」。ALにはPOPな曲も色々あるのにこの曲がSgなのも凄い(好きですが)。AL作品には、この曲の様に”良い意味でちょっと気持ち悪い”魅力もあって聴きごたえがあります。
「もうすぐ僕らは ふたつの時代を越える恋になる」のBメロの縦ノリの高揚感も素晴らしい。
ちょっと書きすぎましたが、ともかくこのALの楽曲は好きな曲が多いですね。スカッとするよりはちょっと暗めの雰囲気のする曲が多いですが、それがまた良い。
AL1枚を通してのドラマというよりも、1枚の中に沢山の映画作品が入っているという感じがします。
「SAY YES」や「YAH YAH YAH」的な分かりやすいPOPさとは、全然方向性が違いますが、深みを増した大人のPOPSを楽しみたい方には、非常にオススメできる1枚です。
90年代のバンド衰退
チャゲアスはデュオ(ユニット)であるのですが、個人的には歌謡ロック色の印象が強く、今でもバンドのイメージがあります。
バンドといえば、音楽業界では90年代後半ビジュアル系などが流行りだした時期で、それまでの90年代中盤までのヒットアーティストは一気に振るいに掛けられた感はありますね。
特に爽やか/正統派系のバンドは急速に苦戦を強いられた気がします。
光と影、いや善と悪の表現で言うと正義サイドが TUBE、DEEN、FIELD OF VIEW、LRなど。(あくまで大まかなイメージとして)。こちらは、大打撃というか苦戦を強いられた印象があります。
逆にちょっとワルな感じのBzやサザン等は、あまりダメージを受けずに人気を保続したという印象です。まあパッと思いついただけですが、意外と当てはまっている様な気もするので、他にもそんなバンド/アーティストもあるかもしれません。
そう考えると、Mr.Childrenも「innocent world」の様な爽やかで優等生な楽曲ばかりだったら、ここまで長く支持されていなかったのかもしれない。彼らは「名もなき詩」『深海』「マシンガンをぶっぱなせ」辺りのちょいダークサイドな流れがありましたね。
結果として自らの弱さも見せることで、若者たちや男性支持も増えて、その人気を不動のものにしたのかもしれない。
まあチャゲアスの場合は、強いて言えば正義よりの悪ですかね。
彼らの持ち味は、時代の最先端や流行のサウンドを纏う、若手アーティストの方向性とは対極で、聞きやすいロックであるのと同時に、古臭い・男臭い・昭和歌謡ロックが根底にあると思います。
それと共に、日本が元気だった頃のバブル時代を代表するアーテイストでもあったと思います。
その後の作品も含めて、楽曲のクオリティは高いものが多いと思うので、ビジュアル系や楽曲の影響というよりも、90年代後半の音楽業界のバブル崩壊と共に、時代と寄り添う様にして自然と落ち着いていったという印象か。
現在、ユニットとしては表向きは活動休止中であり、Sg自体は2007年の「Here & There」(「Man and Woman」と2枚同時発売)が今の所では最後のSg作品になっています。※参考レビュー記事 CHAGE and ASKA 「Here & There」レビュー 眠らない夢と その先の案内人
この十数年、彼らの作品を毎年毎年、その年毎に違う曲にハマったりしていて、全然飽きないし、聴き込む事で新たに好きな曲が増えたりしています。
だから、もちろんChageさんもASKAさんも現在ソロ活動で音楽活動を行っており応援していますが、自分にとっては2人の”CHAGE and ASKA“としても途切れること無く現役なんですよね。
お二人のソロ活動は勿論、ユニットでの新曲もいつか聴ける事を願って (- 人 -)
という事で、今回はCHAGE and ASKA「no doubt」楽曲レビューでした。